2020年4月 - 2023年3月
社会性を育む社会的遊び行動:オキシトシン神経回路の役割
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
社会性の発達には幼少期の社会的遊びが重要であることが知られているが、この神経基盤はほとんど明らかではない。これまでに、ラットの社会的遊び行動時にオキシトシン産生ニューロンが活性化されること、社会的遊びを阻害すると成体で社会的相互作用が阻害されること、幼少期のオキシトシン受容体の活性化が正常な社会行動の発達に必須であることを示してきた。本研究の目的は、「幼少期の社会的遊びによってオキシトシン神経回路が可塑的に機能亢進し、成熟後の社会行動が促進される」という仮説を検証することである。
社会的遊び行動時に活性化されるオキシトシン神経回路を同定するため、オキシトシン受容体遺伝子座に蛍光タンパク質VenusとDNA組換え酵素Flippaseの遺伝子を導入したラットを作製した。このラットの内、選定したラインについて成体と幼少期の脳におけるVenusの発現解析を進めており、引き続きオキシトシン受容体の発現部位とFlippaseが機能することを確認する。この動物を用いて、オキシトシン受容体発現ニューロンの社会的遊び行動時の神経活動の評価と、神経活動の人為的操作研究を進める。また、幼少期の社会的遊び行動によってオキシトシン神経回路が可塑的に機能亢進するかの検証を行うため、神経活動依存的に目的遺伝子を発現させ、その発現が永続的に維持されるFos-TRAP(Targeted Recombination in Active Populations)ラットを作製した。Combi-CRISPR法を用いて、c-fos遺伝子座にタモキシフェン誘導型DNA組換え酵素のCreERT2をノックインした。現在までにF0世代が得られており、PCR解析、DNAシーケンス解析、サザンブロット解析を行い、選択した候補の4ラインについてF1ラットの作製に着手したところである。
社会的遊び行動時に活性化されるオキシトシン神経回路を同定するため、オキシトシン受容体遺伝子座に蛍光タンパク質VenusとDNA組換え酵素Flippaseの遺伝子を導入したラットを作製した。このラットの内、選定したラインについて成体と幼少期の脳におけるVenusの発現解析を進めており、引き続きオキシトシン受容体の発現部位とFlippaseが機能することを確認する。この動物を用いて、オキシトシン受容体発現ニューロンの社会的遊び行動時の神経活動の評価と、神経活動の人為的操作研究を進める。また、幼少期の社会的遊び行動によってオキシトシン神経回路が可塑的に機能亢進するかの検証を行うため、神経活動依存的に目的遺伝子を発現させ、その発現が永続的に維持されるFos-TRAP(Targeted Recombination in Active Populations)ラットを作製した。Combi-CRISPR法を用いて、c-fos遺伝子座にタモキシフェン誘導型DNA組換え酵素のCreERT2をノックインした。現在までにF0世代が得られており、PCR解析、DNAシーケンス解析、サザンブロット解析を行い、選択した候補の4ラインについてF1ラットの作製に着手したところである。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K07278
- 体系的課題番号 : JP20K07278