共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2003年

ジーントラップ・マイクロアレイによるマウス・ゲノムの網羅的な機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特定領域研究  特定領域研究

課題番号
15011237
体系的課題番号
JP15011237
配分額
(総額)
5,400,000円
(直接経費)
5,400,000円

我々は、マウス・ゲノム科学における新しい研究手法の開発を第一の目標にし、本研究を推進している。まず、マウスのES細胞とレトロウイルス型ジーントラップ・ベクターRET(改良型poly Aトラップ方式を採用)を利用してランダムなジーントラップを行い、これまでに約2000個のES細胞コロニーをピックアップした。それぞれのES細胞クローンからRNAを抽出し、3'RACE法によりトラップされた遺伝子のcDNA断片を増幅したあと、direct sequencingによってその塩基配列を決定した。その塩基配列の情報に基づき、それぞれの遺伝子に特異的なPCRプライマーを合成し、3'RACE法によって得られたものよりもさらに高純度のcDNA断片を増幅し、DNAアレイを作製した。このアレイを用いたスクリーニングにおいて、マウスの脳で特異的に発現する新規遺伝子を見出し、その遺伝子がトラップされたES細胞クローンを用いることにより、直ちにその新規遺伝子に関するノックアウト・マウスを作製した。このランダムなジーントラップに基づいたDNAアレイの大きな特徴は、従来のゲノム解析法では遺伝子として見なされたことのない、未知の(unknown)遺伝子候補配列を数多く含んでいることである。我々のアレイを用いたスクリーニングでは、このような遺伝子候補配列の場合でも、しばしばマウスの組織におけるmRNAレベルでの発現を確認することができた。つまり、ランダムなジーントラップに基づいたDNAアレイを用いることにより、遺伝子の発現パターンのみを指標にして(その塩基配列には依存せず)全く新規の遺伝手群を同定し、直ちにそれらをマウスの個体レベルでノックアウトすることが可能になったのである。この新しい手法の開発により、マウス・ゲノムの網羅的な機能解析の分野に大きな突破口が切り開かれた、と言うことができる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15011237
ID情報
  • 課題番号 : 15011237
  • 体系的課題番号 : JP15011237