論文

2014年9月

浅床栽培法を用いたレンコンの省力栽培におけるハスの生育・収量・品質および養分動態の評価

愛媛大学農学部農場報告 = Bulletin of the Experimental Farm, Faculty of Agriculture, Ehime University
  • 当真 要
  • ,
  • 岩本 玲奈
  • ,
  • 稲吉 佳緒里
  • ,
  • 長崎 信行
  • ,
  • 上野 秀人

36
開始ページ
7
終了ページ
20
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
愛媛大学農学部附属農場

レンコンの栽培は収穫時に多大な労力が必要なことが問題となっている。近年確立された省力で収穫が可能な浅床栽培法を用いてハスの栽培を行い、生育・収量・土壌化学性の変化および灌漑水量について評価を行った。2012年と2013年に、作土を10cmに充填した枠を用い化学肥料(C区)または有機肥料(O区)を用いた2処理区を設けた。窒素とリンの施用量はC区とO区で同等であったが、O区には油かすと鶏糞を用いためにカリウムはC区の3割程度であった。肥大茎の収穫量(3.15~3.93kg m-2)は処理区間の違いはなく、一般的な栽培体系での収量より大きかった。一方、C区で一節あたり100~200gがO区よりも多くなる傾向が見られた。ハスに吸収されたカリウムの約50%が肥大茎にあったことから、カリウム施用量が多いC区で肥大茎の生長に影響したと考えられた。肥大茎の色は2013年が2012年よりも有意に白かった。これは非栽培期間に土壌を湛水状態に保ったため2013年の栽培期の土壌がより還元的になり、肥大茎に付着する酸化鉄が減少したためと考えられた。陽イオン交換容量、土壌全炭素・窒素含量および交換性カリウム含量は2作付け後に14~55%低下しており、有機物の施用などによって土壌有機物の分解やハスの生長による土壌養分の減少を補う必要がある。栽培に必要な灌漑水量は1,000mm程度であり比較的水の必要量は少なかったが、7~9月の繁茂期には蒸発散量が降水量を上回るために灌漑が必要である。以上より、浅床栽培法によるハスの省力栽培は収量の増加や品質の向上が見込まれるが、土壌肥沃度を保つために有機物施用等を含めた栽培体系の確立が必要であることが明らかとなった。

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  • ISSN : 0914-7233
  • CiNii Articles ID : 120005865832
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  • identifiers.cinii_nr_id : 1000090301324

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