2001年
水稲の登熟期における炭酸同化能と穂の着粒構造の相違が登熟特性に与える影響
日本土壌肥料学雑誌
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- 巻
- 72
- 号
- 3
- 開始ページ
- 379
- 終了ページ
- 384
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20710/dojo.72.3_379
- 出版者・発行元
- 日本土壌肥料學會
姉妹品種でありながら登熟特性が顕著に異なる品種アケノホシとホシユタ力を用い、穂揃期および登熟中期にI3CO2を暴露することによって、器官および葉位別の炭酸同化能および同化産物の穂への着粒位置別転流量を測定し、登熟特性の違いが生じるメカニズムの解明を行った。I3CO2暴露はl3CO2を含む空気を充填した小型ボンベとプラスチックバッグを用いる簡易法によって行った。 1)穂揃期における炭酸同化量は、両品種とも上位葉ほど多くなる傾向が見られた。ホシユタカはアケノホシに比べて全体的に炭酸同化量が多く、特に下位葉でホシユタカの同化能力が顕著に高かった。 2)登熟中期において同化・吸収された13CO2の4日後の器官別転流配分は、アケノホシでは、穂≫葉身>葉鞘・節間の順になり、またホシユタ力は穂・葉身>節間>葉鞘の順になった。葉身の固定(残存)量は、アケノホシでは中位葉が高く、ホシユタ力は下位葉ほど高くなった。両品種とも葉鞘では上位が高く、節間では中位が高くなった。 3)登熟中期に同化された13Cの籾への転流配分を着粒位置別に比較したところ、アケノホシは上位、下位とも強勢粒への転流量が多くなり、弱勢粒への転流量は少なかった。逆にホシユタ力は、上位、下位とも弱勢粒への転流量が多く、強勢粒への転流は少なかった。このことからホシユタ力は平均的に登熟が行われる理想的な炭酸同化産物の転流特性を有しており、またアケノホシは局所的に同化産物の蓄積が行われるため、着粒位置別の登熟度の差を生じさせていることが明らかになった。 4)l3CO2ボンベとプラスチックバッグを用いた簡易的な13CO2暴露法は、圃場試験における炭酸同化速度の測定および同化産物の転流特性の解析において有効な方法であると考えられた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20710/dojo.72.3_379
- ISSN : 0029-0610
- CiNii Articles ID : 110001748000
- CiNii Books ID : AN00195767