2019年4月 - 2022年3月
内受容感覚の計算論モデルに基づいた身体症状症に対する評価指標の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
内受容感覚の予測的処理が身体と感情との関係性を理解するモデルとして注目されている。 近年,身体感覚の違和感を訴える高齢患者が多いものの,加齢と内受容感覚との関係性に不明な点が多く,内受容感覚の機能不全が加齢や認知機能の低下に起因するのか身体症状症に起因するのか鑑別が難しい。本研究は,内受容感覚の機能不全のうち予測誤差を小さくできない「内受容感覚予測の修正困難さ」を測定する課題を作成し,高齢者も含めた身体症状症の評価指標を開発することを目的とする。本研究課題では,計算論アプローチによって1)健常高齢者を対象に「内受容感覚予測の修正困難さ」を測定する課題を作成する。2)身体症状症患者と健常者を対象に内受容感覚予測の修正困難さと関連する脳神経基盤を明らかにする。3)身体症状患者を対象に1)で作成した課題が身体症状症の重症度を予測するかを検討する。
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2021年度は上記1)と2)を行うために健常高齢者と身体症状症患者に対象を絞り,データ収集を行なった。予備実験では,健常高齢者を対象に内受容感覚予測の修正困難さを測定する課題のプロトコールを検討した。健常高齢者のデータを解析した結果,内受容感覚の正確性(Interoceptive accuracy)は試行ごとに向上し、高齢者は内受容感覚の正確性を修正することが可能であることが示された。予備実験の結果から、作成した課題が内受容感覚予測の修正困難さを測定するものであると考えられる。これらの結果について、2つの国際学会で報告を行った。また、上記2)では身体症状症患者(50歳以上)を対象に内受容感覚の修正困難さと安静時のfMRIの計測を行った。内受容感覚の修正困難さでは、身体症状症患者は高齢者に比べて内受容感覚を修正することが難しいということが明らかになった。今後、内受容感覚の修正困難さと関連する脳機能結合について解析を行う。
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2021年度は上記1)と2)を行うために健常高齢者と身体症状症患者に対象を絞り,データ収集を行なった。予備実験では,健常高齢者を対象に内受容感覚予測の修正困難さを測定する課題のプロトコールを検討した。健常高齢者のデータを解析した結果,内受容感覚の正確性(Interoceptive accuracy)は試行ごとに向上し、高齢者は内受容感覚の正確性を修正することが可能であることが示された。予備実験の結果から、作成した課題が内受容感覚予測の修正困難さを測定するものであると考えられる。これらの結果について、2つの国際学会で報告を行った。また、上記2)では身体症状症患者(50歳以上)を対象に内受容感覚の修正困難さと安静時のfMRIの計測を行った。内受容感覚の修正困難さでは、身体症状症患者は高齢者に比べて内受容感覚を修正することが難しいということが明らかになった。今後、内受容感覚の修正困難さと関連する脳機能結合について解析を行う。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K14454
- 体系的課題番号 : JP19K14454
この研究課題の成果一覧
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論文
3-
Frontiers in Neuroscience 16 1130324 2023年1月13日 査読有り招待有り筆頭著者責任著者
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Frontiers in Neuroscience 16 946136 2022年7月11日 査読有り責任著者
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精神医学 62(12) 1597-1604 2020年12月 招待有り筆頭著者責任著者
MISC
3-
International Journal of Psychophysiology 188(S) 102-102 2023年6月26日 査読有り筆頭著者責任著者
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2022 Society for Affective Science Annual Conference 2022年3月30日 査読有り筆頭著者責任著者
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International Journal of Psychophysiology 168(S) 137-137 2021年10月 査読有り筆頭著者責任著者
書籍等出版物
1-
ミネルヴァ書房 2022年2月10日 (ISBN: 9784623093212)
講演・口頭発表等
1-
感情のかけ橋シンポジウム2022 2022年3月17日 日本ロボット学会 招待有り