論文

査読有り
2018年11月

strigosaエンバク「KH1a」のネグサレセンチュウ抑制効果

九州病害虫研究会報
  • 上杉謙太
  • ,
  • 串田篤彦
  • ,
  • 桂真昭
  • ,
  • 上床修弘
  • ,
  • 村田岳
  • ,
  • 岩渕慶

64
0
開始ページ
73‐79
終了ページ
79
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.4241/kyubyochu.64.73
出版者・発行元
九州病害虫研究会

strigosaエンバクAvena strigosa Schreb.はセイヨウチャヒキやエンバク野生種とも呼ばれ,飼料やカバークロップとして利用されるイネ科作物である。本草種の栽培は,キタネグサレセンチュウPratylenchus penetrans(Cobb)の密度低減に有効であることから,日本では主に線虫抑制効果を持つ緑肥として利用されているが,strigosaエンバクの主要品種はサツマイモネコブセンチュウMeloidogyne incognita (Kofoid and White)に対しては感受性である。strigosaエンバク栽培でネグサレセンチュウ害を低減できても,圃場によってはネコブセンチュウ害を助長してしまう可能性がある。また,サツマイモネコブセンチュウは多くの作物を加害する多犯性の線虫であるため,strigosaエンバクを単なる緑肥や飼料として利用する場合でも,後作作物のネコブセンチュウ害に与える影響を考慮する必要がある。このようなstrigosaエンバクの負の影響を避ける方法の一つとして,サツマイモネコブセンチュウ抑制性の系統を利用することがあげられる。strigosaエンバクの主要品種はサツマイモネコブセンチュウに感受性であるが,一部ではその増殖を抑制する系統が報告されている。国内においても,strigosaエンバク系統である「KH1a」がサツマイモネコブセンチュウの増殖を抑制し,栽培後の線虫密度を感受性品種よりも低く抑えることが示された。「KH1a」は暖地におけるstrigosaエンバクの利用場面を拡大するものとして期待されるが,ネコブセンチュウ抑制性のstrigosaエンバクがキタネグサレセンチュウに対する抑制性も保持しているかは,本系統を含めまだ検討されていない。「KH1a」がサツマイモネコブセンチュウ抑制性を示しても,キタネグサレセンチュウに対する抑制性が低ければ,従来品種のようなキタネグサレセンチュウ抑制目的の利用には適さない可能性がある。そのため,「KH1a」のキタネグサレセンチュウに対する抑制効果を確認しておくことは本品種の利用上重要である。また,strigosaエンバクは本州以南でサトイモやサツマイモを加害するミナミネグサレセンチュウPratylenchus coffeae(Zimmermann)の増殖も抑制することが明らかにされている。本研究では「KH1a」のキタネグサレセンチュウおよびミナミネグサレセンチュウに対する抑制効果を,過去に線虫抑制試験例の多いstrigosaエンバク品種と比較することにより調査した。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.4241/kyubyochu.64.73
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201802269578997267
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007657649
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00055757
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201802269578997267
ID情報
  • DOI : 10.4241/kyubyochu.64.73
  • ISSN : 0385-6410
  • J-Global ID : 201802269578997267
  • CiNii Articles ID : 130007657649
  • CiNii Books ID : AN00055757

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