2006年 - 2008年
見かけの交差抵抗性による殺虫剤抵抗性の発達メカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
- 課題番号
- 18780035
- 体系的課題番号
- JP18780035
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 2,800,000円
- (直接経費)
- 2,800,000円
- (間接経費)
- 0円
- 資金種別
- 競争的資金
生物のメタ集団構造は、生物進化の速度を決定する1つの要因である。したがって、進化現象の1つである害虫の薬剤抵抗性発達の速度も、害虫のメタ集団構造の影響を受けると考えられる。本研究では、農業害虫ナミハダニが速やかに複数の殺ダニ剤に対して抵抗性を発達させる要因の1つとして、メタ集団構造の動態の影響があるとの仮説のもと、本種の圃場内のメタ集団のあり方を分子遺伝マーカーによる集団遺伝学的解析によって調べた。
まず、集団解析のための遺伝マーカーの開発を行った。マイクロサテライト領域を増幅したDNA断片のライブラリを作成、クローニングによるシーケンスとそのシーケンスデータを元にしたプライマー設計によって変異のある16遺伝子座のマイクロサテライトマーカーを開発した。
次に、調査地である奈良県平群町のバラ施設栽培地内の2畝にそれぞれ18の方形区を設置、ハダニの雌成虫のサンプリングを7月と9月に行い、開発したマイクロサテライトマーカーによる集団遺伝学的解析を行った。その結果、方形区内でも方形区間でもハダニの集団はランダム交配ではなく構造を持っていることが分かった。さらに、方形区集団それぞれの遺伝的類似度を計算してみた結果、各集団は隣り合う集団と類似度が高く、畝集団全体では遺伝的な勾配(クライン)を持つていることが分かった。過去の文献から、本種は葉単位ではランダム交配を行っていることが分かっていることから、この圃場でのハダニの集団構造は、葉を単位とした飛び石モデルにもっともよく適合することが示唆された。以上の解析データを元に、今後は、圃場のハダニ集団のメタ集団モデルを構築し、ハダニが速やかに殺ダニ剤抵抗性を発達させるメカニズムを解析する予定である。
まず、集団解析のための遺伝マーカーの開発を行った。マイクロサテライト領域を増幅したDNA断片のライブラリを作成、クローニングによるシーケンスとそのシーケンスデータを元にしたプライマー設計によって変異のある16遺伝子座のマイクロサテライトマーカーを開発した。
次に、調査地である奈良県平群町のバラ施設栽培地内の2畝にそれぞれ18の方形区を設置、ハダニの雌成虫のサンプリングを7月と9月に行い、開発したマイクロサテライトマーカーによる集団遺伝学的解析を行った。その結果、方形区内でも方形区間でもハダニの集団はランダム交配ではなく構造を持っていることが分かった。さらに、方形区集団それぞれの遺伝的類似度を計算してみた結果、各集団は隣り合う集団と類似度が高く、畝集団全体では遺伝的な勾配(クライン)を持つていることが分かった。過去の文献から、本種は葉単位ではランダム交配を行っていることが分かっていることから、この圃場でのハダニの集団構造は、葉を単位とした飛び石モデルにもっともよく適合することが示唆された。以上の解析データを元に、今後は、圃場のハダニ集団のメタ集団モデルを構築し、ハダニが速やかに殺ダニ剤抵抗性を発達させるメカニズムを解析する予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 18780035
- 体系的課題番号 : JP18780035
この研究課題の成果一覧
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受賞
1論文
4-
Experimental and Applied Acarology 47(2) 99-109 2009年 査読有り
-
Psyche: a Journal of Entomology 2009 947439 2009年 査読有り
-
Experimental and Applied Acarology 49(4) 281-281 2009年 査読有り筆頭著者
-
Journal of economic entomology 101(5) 1704-1710 2008年 査読有り