共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

流跡線解析によるコナガの長距離移動の実態解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
16K21608
体系的課題番号
JP16K21608
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,730,000円
(直接経費)
2,100,000円
(間接経費)
630,000円
資金種別
競争的資金

1)風洞の中でコナガ成虫を針金で吊るし風を送り、疑似的に気流中の受動的飛行状態を再現し観察可能な実験を行った。新たにビデオ観察データを加えた結果、コナガの羽ばたき行動は、気流の向きによって異なることが明確となった。追い風(後方気流)では、風洞に吊るした当初から持続的に翅を羽ばたかせ、次第に力尽きていく中で羽ばたき時間を減らしていった。一方で、向かい風(前方気流)では、最初から持続的な羽ばたきは行わなかった。追い風処理を行った16個体のうち最も羽ばたき持続性が高かった4個体は、24時間以上もほぼ休むことなく羽ばたいていたが、その後すぐに力尽きた。コナガは、追い風を受けるような姿勢で気流の流れに乗り、そのまま羽ばたき続けて揚力を長時間(24時間以上)持続させることで長距離の移動を可能としていると推察される。
2)コナガの長距離移動の実態を推定するために、気流解析ソフトウェアHYSPLIT(アメリカ海洋大気庁)を用いて、2017年4-5月の気流データ(GDAS1データ)を使い、気流による飛行軌跡(流跡線)を推定した。この結果から2017年4-5月において、限られた日だけであるが、越冬可能地である関東・東海・近畿地方から非越冬地である盛岡へのコナガの長距離移動が可能であったと考え、流跡線の長さからその長距離移動のスケールは数百~千km程度であると推定された。流跡線解析によって越冬可能地域からの飛来が成功したと推定された日の前後の天気図(気象庁「日々の天気図」)を調べた結果,前線の通過と流跡線解析による推定飛来日との一致は見出せなかった。むしろ前線の通過は,海よりの強い風をもたらすことによって,越冬地域から非越冬地域への飛来を妨げている可能性が高い。したがって、前線の通過とコナガ飛来との関係性に関する知見については再検討が必要である。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16K21608/16K21608seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K21608
ID情報
  • 課題番号 : 16K21608
  • 体系的課題番号 : JP16K21608

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