2018年
ポリスルフィドによるカドミウムの不活性化を介した肝毒性の防御機構
日本毒性学会学術年会
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- 巻
- 45
- 号
- 0
- 開始ページ
- P
- 終了ページ
- 104
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14869/toxpt.45.1.0_p-104
- 出版者・発行元
- 日本毒性学会
<p>【目的】カドミウム(Cd)は親電子性を有し、低濃度ではセンサータンパク質のシステイン残基の化学修飾を介したレドックスシグナル伝達経路の活性化を引き起こし、高濃度では非特異的なタンパク質の化学修飾により毒性を発揮する。本研究では、パースルフィドやポリスルフィドなどの活性イオウ分子が高い求核性を有することに着目し、ポリスルフィドのモデルとしてNa<sub>2</sub>S<sub>4</sub>を用いてCdによって生じるシグナル伝達経路の活性化や肝毒性に対する活性イオウ分子の役割を明らかにすることを目的とした。【結果および考察】マウス初代肝細胞において、Cdの曝露によって引き起こされたHSP70およびメタロチオネイン-I/II(MT-I/II)の誘導および細胞毒性は、Na<sub>2</sub>S<sub>4</sub>の処理によって抑制された。ESI-MSにて解析したところ、CdとNa<sub>2</sub>S<sub>4</sub>の反応生成物として、硫化カドミウム(CdS)およびチオ硫酸カドミウム(CdS<sub>2</sub>O<sub>3</sub>)がそれぞれ検出された。そこでCdSおよびCdS<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の細胞毒性をCdCl<sub>2</sub>と比較したところ、CdSは殆ど毒性を示さず、HSP70やMT-I/IIも誘導しなかった。CdS<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の細胞毒性はCdと殆ど変わらなかったが、CdS<sub>2</sub>O<sub>3</sub>曝露時にNa<sub>2</sub>S<sub>2</sub>O<sub>3</sub>を同時処置すると、毒性の軽減が観察された。インビボにおいて、Cd投与による肝毒性はNa<sub>2</sub>S<sub>4</sub>の処理によって抑制され、CdSの曝露では肝毒性は殆ど認められなかった。以上より、ポリスルフィドはCdによるストレス応答タンパク質の誘導や肝毒性の惹起を負に制御する働きがあることを明らかにした。一方、Cdの解毒に関しては、CdSおよびCdS<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の生成がみられたが、前者は安定な付加体であるのに対して後者は不安定な付加体であるために、CdSが少なくともCdの不活性化に寄与することが示唆された。Akiyama M et al. <i>Chem Res Toxicol</i> 2017.</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14869/toxpt.45.1.0_p-104
- CiNii Articles ID : 130007432609
- identifiers.cinii_nr_id : 9000397802072
- CiNii Research ID : 1390564238005235456