2021年4月 - 2024年3月
メタンを起点とする湖沼生態系:放射性炭素を用いた新しい評価法
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本研究では、深部メタンの湧出が確認されている諏訪湖にて、深部メタンが湖水中に取り込まれる過程や諏訪湖の生態系に与える影響について、化合物レベル安定同位体比分析や放射性炭素測定等を用いた定量的な評価を目的としている。本年度は表層水圏由来のメタン,および深部堆積層から湧出するメタンについて解明を行った。
表層堆積物から放出されるメタンは湖底堆積物中に生息する「メタン生成アーキア」と呼ばれる微生物が生産していると考えられている。諏訪湖では夏季に「アオコ」と呼ばれるシアノバクテリアブルームが発生する。アオコや表層堆積物の遺伝子解析結果から、死滅後のアオコが表層堆積物中で速やかに分解され、堆積物に生息する微生物の栄養源となっていることを示した。メタン生成アーキア特有のバイオマーカーである補酵素F430を分析した結果、表層堆積物だけでなく、アオコからも高濃度のF430が検出された。これは好気環境下にてアオコとメタン生成アーキアが共存してメタンを生成していることを強く示唆する。
また、諏訪湖内で湧出するガスの放射性炭素を測定した結果、湧出ガスに含まれるメタンには放射性炭素がほとんど含まれておらず、大気と隔絶された深部炭素であることを示した。加えて、湖水に含まれる溶存無機炭素の放射性炭素を分析したところ、湧出サイト付近の溶存無機炭素には深部炭素が63%含まれており、湧出サイトから離れた沿岸部でも溶存無機炭素に深部炭素が約10%含まれていることが示された。このことから、湧出ガスに由来する深部炭素の一部は、表層水圏の炭素循環に取り込まれていることが明らかになった。
表層堆積物から放出されるメタンは湖底堆積物中に生息する「メタン生成アーキア」と呼ばれる微生物が生産していると考えられている。諏訪湖では夏季に「アオコ」と呼ばれるシアノバクテリアブルームが発生する。アオコや表層堆積物の遺伝子解析結果から、死滅後のアオコが表層堆積物中で速やかに分解され、堆積物に生息する微生物の栄養源となっていることを示した。メタン生成アーキア特有のバイオマーカーである補酵素F430を分析した結果、表層堆積物だけでなく、アオコからも高濃度のF430が検出された。これは好気環境下にてアオコとメタン生成アーキアが共存してメタンを生成していることを強く示唆する。
また、諏訪湖内で湧出するガスの放射性炭素を測定した結果、湧出ガスに含まれるメタンには放射性炭素がほとんど含まれておらず、大気と隔絶された深部炭素であることを示した。加えて、湖水に含まれる溶存無機炭素の放射性炭素を分析したところ、湧出サイト付近の溶存無機炭素には深部炭素が63%含まれており、湧出サイトから離れた沿岸部でも溶存無機炭素に深部炭素が約10%含まれていることが示された。このことから、湧出ガスに由来する深部炭素の一部は、表層水圏の炭素循環に取り込まれていることが明らかになった。
- ID情報
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- 課題番号 : 21J00787
- 体系的課題番号 : JP21J00787
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2022年日本地球惑星科学連合大会 2022年5月23日 招待有り