共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2023年3月

化学プロセス革新を実現する驚異的な省エネルギー性を有する有機溶剤超ろ過法の創出

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K21111
体系的課題番号
JP20K21111
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

化学品製造プロセスにおいて有機溶剤の分離・濃縮に多用される蒸留法は、多量の熱エネルギーを必要とする極めてエネルギー消費の大きいプロセスである。一方、膜分離法は格段に省エネルギーな分離法ではあるものの、これまでは有機溶剤の液-液分離プロセスに適用できる膜は無いのが現状である。そこで本研究は、大幅な省エネルギー化を目指して、有機溶剤系で直接溶剤-溶剤間の膜分離を行う新規有機溶剤超ろ過膜法(Organic solvent Hyper Filtration; OHF)の創出を目指す。
昨年度は、フッ素含有ポリマーであるAF2400を用いたスピンコート法による複合膜と、フッ素元素置換基を導入した界面重合法ポリアミド複合膜の2つのOHF膜を創製した。
本年度は新たなOHF膜として、ナノフィラー包埋複合膜とアルキルシロキサン複合膜の2種類の膜の開発を行った。1つ目のナノフィラー包埋複合膜は、耐溶剤性ポリケトン多孔膜を支持膜とし、酸化グラフェンの一種であるグラフェンクオンタムドットをナノフィラーとして共有結合で包埋したポリアミドを界面重合法により形成させて緻密層とした膜である。2つ目のアルキルシロキサン複合膜は、ポリエーテルスルフォン多孔膜を支持膜とし、その上に架橋したポリジメチルシロキサンをスピンコーティングにより重層化して緻密層とした膜である。両膜とも分画分子量が100~数100 Daを示す耐溶剤性OHF膜の性能を有することを確認した。また、前者の膜は極性有機溶媒系での透過性に優れ、後者の膜は非極性有機溶媒の透過性が良好であることから、対象有機溶媒の種類に応じて両膜を使い分けることで多種類の有機溶媒に対応が可能となった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21111
ID情報
  • 課題番号 : 20K21111
  • 体系的課題番号 : JP20K21111