共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

エラスチン架橋アミノ酸に着目したもやもや病バイオマーカー診断法の確立

科学研究費補助金  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)
  • 井上智夫

課題番号
19K09498
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円
資金種別
競争的資金

本研究の目的は、臨床医学と有機化学の異分野融合型の学際型研究として、動脈壁の構成成分であるエラスチンの架橋アミノ酸desmosineおよびisodesmosineが、もやもや血管の増勢や脳出血、脳梗塞などの致命的となり得る脳血管イベントの発症を推測可能なバイオマーカーであるという作業仮説を検証し、もやもや病の病態評価に関する簡便かつ高精度な診断法を初めて開発することである。
もやもや病患者ではウイリス動脈輪に内膜線維性肥厚、内弾性板の屈曲、中膜の菲薄化などが認められている。その為、動脈壁中膜の主要成分である弾性線維エラスチンが組織学的に破綻している可能性が示唆されるが、生体内での血液生化学的動態には不明な点が多い。したがって、本研究では血液などの臨床試料中のエラスチン架橋アミノ酸の変動をバイオマーカーとする前例のない、簡便かつ客観的で高精度なもやもや病の病期進行予測モデルを構築できる。本研究により、若年者脳梗塞の不要な治療行為の減少や医療費の多大な削減が期待される。また、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の三大疾病のうち、脳卒中のみ早期診断が可能なバイオマーカーが開発されていないが、本手法はもやもや病以外の他の脳卒中治療への水平展開も可能と考えられる。
もやもや病患者の体内動態に関する以下の3項目につき、計3年間の研究期間内に明らかにする。そして最終的には、もやもや病の診断および病期進行予測をより客観的に遂行する為のバイオマーカーを同定し得る簡易的スクリーニングキットの開発につなげることを目指し、もやもや病患者の臨床試料中のdesmosine/isodesmosineの定量分析をおこなった。

ID情報
  • 課題番号 : 19K09498