本研究では、マウス筋衛星細胞の初代培養を用いて、超音波刺激によるDNA合成促進効果を調べ、どのような超音波刺激条件が細胞増殖に適しているのかを検証した。C57BL6/J雄性マウスの長趾伸筋から回収した筋衛星細胞に対して、超音波刺激の刺激強度0.1、0.5、1.0W/cm2を与える群、照射時間率10%、20%、50%を与える群を作製した。超音波刺激4時間後にPax-7抗体による免疫組織染色を行い、筋衛星細胞の同定を行った。また、EdU染色、Hoechest33342染色を行い、Hoechest33342陽性細胞数に対するEdU陽性細胞数の割合を算出し、DNA合成率とした。その結果、長趾伸筋から回収した細胞の89%が筋衛星細胞であることがわかった。超音波刺激の刺激強度0.5、1.0W/cm2を与えた群で、超音波刺激を与えない群に対してDNA合成率が有意に増加した。また、超音波刺激の照射時間率50%を与えた群で、超音波刺激を与えない群に対してDNA合成率が有意に増加した。超音波刺激による筋衛星細胞のDNA合成促進効果を、刺激強度や照射時間率の大きさで比較すると、より刺激強度が高く、照射時間率が大きいとDNA合成促進効果が高い傾向がみられた。(著者抄録)