2009年1月
地層処分の安全評価における長期の時間スケールに伴う不確実性の取り扱いに関する研究
九州大学博士論文
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- 121
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- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
本研究では、HLW地層処分の長期の時間スケールに伴う不確実性の取り扱いとして以下の2つの課題に取り組んだ。(1)将来の人間の生活環境の変化にかかわる線量評価の不確実性を補完する指標としてフラックスを用い、処分場から移行する核種のフラックス(処分場起源フラックス)と地下水中に天然に存在する核種のフラックス(ナチュラルフラックス)を比較する評価手法を提案した。処分場起源フラックスとナチュラルフラックスに共通の評価点として、下流側断層破砕帯から帯水層への地下水の流出点を選ぶことにより、フラックスの比較により各バリアの性能を例示し、処分システムが頑健であることを示した。(2)極めて起こる可能性が低い破壊的な天然現象として断層が処分場を横切る事象について解析を行った。解析においては断層活動による擾乱にかかわるプロセスを明確化することに基づき段階的な手順を設定し、合理的なケース設定を行った。最も厳しい条件の組合せによっても、破壊的な断層活動の影響に関し処分システムが有効に機能し、断層活動の影響を緩和できることを例証した。