共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

カミキリムシ等の食植性昆虫における後天的な寄主選好性決定メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K06079
体系的課題番号
JP20K06079
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

食植性昆虫の後天的な寄主依存性の成立、寄主転換過程を明らかにすることを目指し研究を進めている。なお寄主依存性、また奇主転換をもたらす過程には寄主樹木への定位・定着、配偶定位、また産卵選好性、幼虫の摂食、成育など様々な段階がある。
材料のひとつゴマダラカミキリは、広葉樹のみならず・針葉樹を含む広範な樹種を寄主とすること、成虫は幼虫期を過ごし発生した植物の匂いを選好することが知られる。本種においても例外的な寄主といえるイタドリ(草本)からの発生成虫と、木本であるプラタナスからの発生成虫の比較から寄主選好・変更の条件を解析した。プラタナス発生個体は自分の発生樹木であるプラタナスの匂いを選好したが、イタドリ発生成虫は発生寄主・非発生寄主の匂いに同様に定位反応を示した。これらの植物の主要な揮発成分を機器分析の結果から特定し、発生寄主・非発生寄主成分(合成品)の単独・組み合わせによる定位誘導活性を評価した。その結果、寄主定位・配偶定位におけるイタドリ発生成虫の植物成分利用の特徴が明らかになり、イタドリ発生成虫が広範な植物に定位・移動する可能性が示された。また、嗅覚以外の感覚情報(振動・視覚)依存性を評価する実験・解析から、イタドリ発生個体では、非化学的情報要因への依存性がプラタナス発生個体より高いことが示され、さらに草本環境による環境上の制約との関係も明らかになった。これらの知見から本種の一時的な草本の資源利用と、木本への容易な回帰のメカニズムが解明されつつある。
一方、特定外来生物であるクビアカツヤカミキリの産卵場所決定に関わる要因の解析を進めてきた。室内実験で産卵が多い樹皮部分について、表面粗さなどの物理的パラメータを評価した。さらに実際の本種加害・食入部位の樹皮表面の特性との比較から、本種に産卵されやすい部位、樹木の状態の特定、加害樹種の拡大可能性の評価を試みている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K06079
ID情報
  • 課題番号 : 20K06079
  • 体系的課題番号 : JP20K06079