MISC

2019年5月

職域における睡眠呼吸障害と健康経営

産業衛生学雑誌
  • 和田 裕雄
  • ,
  • 白濱 龍太郎
  • ,
  • 津田 徹
  • ,
  • 谷川 武
  • ,
  • 職域における睡眠呼吸障害研究会

61
3
開始ページ
89
終了ページ
94
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本産業衛生学会

背景:睡眠時無呼吸に代表される睡眠呼吸障害は、有病率が高く、肥満や飲酒などの生活習慣と関連すること、高血圧、糖尿病、心血管障害等様々な合併症リスク増加とも関連することから、早期発見・早期治療が重要である。職域では、作業能率の低下や事故・怪我のリスク増加が問題となるため、適切な介入、すなわち、スクリーニング検査から早期診断・早期治療に結び付ける必要がある。しかし現状では、特に職業運転者では大規模な交通事故に至る事例があるにも関わらず、スクリーニング検査の実施の普及は未だ不十分である。結果:本稿では、「自由集会:職域における睡眠呼吸障害研究会」での議論を踏まえて職業運転者の睡眠呼吸障害に焦点を当てた。まず、日本の職業運転者で睡眠呼吸障害のスクリーニングと診断・治療が十分に実施されていない現状をまとめた。さらに、Shin教授の議論を踏まえて韓国の現状を概説し比較したが、韓国でも日本と同様に職業運転者の睡眠呼吸障害に対し適切な対策が講じられていないことが明らかとなった。一方、最近報告された米国Schneider社の事例では、スクリーニングを行い、適切な診断・治療につなげるという社を挙げての積極的な取り組みが、交通事故低減に役立つことが示された。結論:今後は、睡眠呼吸障害を有する職業運転者のスクリーニング、診断、そして治療継続の強化が重要になると考えられた。それを実現するため、「産業医と主治医の連携」そして「健康経営」に基づく提案を行った。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1341-0725
  • 医中誌Web ID : 2019264419

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