共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

非小細胞肺癌におけるVEGF非依存性の新規血管新生因子の同定

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K07278
体系的課題番号
JP18K07278
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

昨年度までの研究で、非小細胞肺癌細胞株EBC-1から11個の血管新生候補タンパク質が分泌されていることを明らかにし、その中のVEGFと肝細胞癌由来増殖因子(HDGF)がEBC-1による血管新生を制御することを見出した。また、別の非小細胞肺癌細胞株であるLu99においてもVEGFとHDGFによって血管新生が誘導されるかを確かめたところ、Lu99による血管新生にVEGFとHDGFは関与しないことが示された。さらに、EBC-1では発現せずLu99にのみ発現する血管新生因子を探索するため、mRNAマイクロアレイを行った結果、3つの血管新生候補因子の遺伝子を同定した。そのうちの塩基性繊維芽細胞増殖因子(FGF-2)に対する中和抗体がLu99によるVEGF非依存性の血管新生を抑制することを明らかにした。
令和元年度では、FGF-2がLu99によるVEGF非依存性の血管新生因子であることを裏付けるため、FGF-2に対するRNA干渉をLu99に施した。しかし予想に反して、Lu99による血管新生を抑制することは出来なかった。一方でLu99細胞内のFGF-2発現はタンパク質レベルでRNA干渉によって抑制されていた。最近、FGF-2の分泌機構が他研究により解明されており、FGF-2には分泌シグナルは存在しないが細胞膜の裏打ちにFGF-2を保持する機構が存在しており、細胞膜から独自の方法でFGF-2は分泌され、且つ細胞膜の外側にもFGF-2を保持する機構が存在しており、FGF-2は細胞内と細胞膜の裏側と外側に存在するという報告がなされた。この報告からRNA干渉でLu99内のFGF-2の発現を抑制してもFGF-2がLu99の細胞膜に存在するため、RNA干渉ではLu99による血管新生を抑制できないことが説明できた。これらの結果を論文にまとめOncology Reports誌に受理された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K07278
ID情報
  • 課題番号 : 18K07278
  • 体系的課題番号 : JP18K07278