共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

マイクロRNAに着眼した虚血性心疾患でのJapanese paradoxの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)
  • 若林 一郎
  • ,
  • 江口 良二
  • ,
  • 大門 貴志

課題番号
17H02184
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

わが国では欧米先進国に比べて虚血性心疾患による死亡率が低い。その原因解明を目的に、日本人と白人の血中マイクロRNA (miRNA)を解析した。
3D-Gene miRNA Oligo chip を用いて、日本人と白人の代表としてのオーストリア人との血中の2565 種類のmiRNAを網羅的に解析した。対象者は現在服薬歴のない健康な男性で、平均年齢はオーストリア人が49.9 ± 6.3歳、日本人が48.2 ± 6.0歳で、両群間に有意差はなかった。BMI、血中LDLコレステロールおよび血糖は、いずれもオーストリア人で有意に高く、HDLコレステロールは日本人で有意に高かった。
日本人とオーストリア人との血中レベルが有意に異なるmiRNAとして、47種類が検出された。過去の文献に基づくシステマティックレビュー(Navickas et al., Cardiovasc Res, 2016)によると、虚血性心疾患に関連するmiRNA として、特に5種類が(miR-1、miR-133、miR-145、miR-208)を挙げられている。本研究ではこれらのいずれのmiRNAレベルにも、オーストリア人と日本人との間で有意差は認められなかった。一方、ST上昇型心筋梗塞で上昇すると報告されているmiR-486(Zhang et al., BMC Cardiovasc Disord, 2015)は、オーストリア人では日本人に比べて2.38倍高く、この差は有意であった。したがって、miR-486は欧米人と日本人の虚血性心疾患の罹患率差に寄与する因子の可能性がある。一方、網羅的解析により日本人とオーストリア人との血中レベルに差を認めた残りの46種類のmiRNAの中にも、動脈硬化の病態に関与するシグナルと報告されているmiRNAがあり、今後さらに虚血性心疾患との関係を検討する予定である。