MISC

2018年5月

【進化するHIV感染症とAIDSの治療】 HIV/AIDSに対する多剤併用療法の進展

医学のあゆみ
  • 渡辺 恒二
  • ,
  • 岡 慎一

265
7
開始ページ
574
終了ページ
579
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
医歯薬出版(株)

1996年に強力なプロテアーゼ阻害薬1剤と逆転写酵素阻害薬2剤を組み合わせた多剤併用療法が可能となって以降、HIV感染者の予後は劇的に改善し、合併症のないHIV感染者では非感染者と同等レベルの生命予後を期待できるようになった。抗HIV薬の開発も時代とともに進んだ。2000年代前半まではより高い抗ウイルス効果を求めて開発が進んだ一方で、それ以降はより飲みやすく、長期内服しても安全な薬剤を求めて薬剤開発が進められ、現在は、患者背景や生活スタイルに適した薬剤の選択が可能となっている。また、現時点では内服による治療が標準的であるが、1ヵ月または2ヵ月に1回の筋肉注射で治療を行うことで、毎日の内服から解放されるような治療法に関しての治験が進んでいる。現在の治療の先には、HIV感染を治癒させる治療法が期待されるものの、しばし時間がかかりそうである。本稿では、HIV感染者が健康で長生きできるために進展してきた抗HIV療法の変遷を臨床医の視点から解説した。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0039-2359
  • 医中誌Web ID : 2018176575

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