共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2008年

マイクロデータロガー切り離し回収システムを用いた遡河回遊魚類の行動生態研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

課題番号
07J01317
体系的課題番号
JP07J01317
配分額
(総額)
2,200,000円
(直接経費)
2,200,000円

マイクロデータロガー切り離し回収システムを用いることにより、従来知られていなかった遡河回遊魚類の詳細な行動と、それに関わる生理メカニズムが明らかになった。カラチョウザメの養殖個体に機器をとりつけ、揚子江に放流する実験を行ったところ、彼らは、深度によって行動パターンを大きく変化させることが分かった。浅い深度では常に尾鰭を動かしていたのに対し、深い深度では、上に泳ぐときのみ尾鰭を強く動かし、下へ泳ぐときには尾鰭を停止してグライディングしていた。これは、鰾によって得られる浮力が、深度によって変化するためである。魚の鰾は水圧によって潰されるため、行動にも影響が出るだろうと過去の研究で予測されている。本研究は、この予測を自然環境下で初めて実証したものである。この結果はJournal of Zoology誌に発表されると話題になり、Journal of Experimental Biology誌で特集された。カラチョウザメの天然個体で同様の実験を行ったところ、彼らは川底でじっとするときと、頻繁に上下移動を繰り返すときがあることが分かった。また、後者のパターンのときには、ときどき水面にまで浮上した。これは、少しずつ鰾から抜けていく空気を補うために、水面で口から空気を吸っていると解釈された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07J01317
ID情報
  • 課題番号 : 07J01317
  • 体系的課題番号 : JP07J01317