2018年
長野県の木工文化:デザイン史から見た農民美術の意義
日本デザイン学会研究発表大会概要集
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- 巻
- 65
- 号
- 0
- 開始ページ
- 38
- 終了ページ
- 39
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11247/jssd.65.0_38
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本デザイン学会
本発表は長野県の木工文化のひとつ「農民美術」(上田市)について、市の近代化という断層によって捉えることにより、その独創性と民芸論との違いを示す。農民美術は版画家・山本鼎(1882-1946)によってはじめられた運動だが、同地域の農民の間でおこされた「上田自由大学」との関係において産学協同の雛形とも言える連携があった。また、農民美術の運動は世界恐慌と第二次世界大戦によって約20年ほどの運動となったが、その息吹は戦後に復活し、発展し、現在に至っている。そのような成功をかんがみると、農民美術が地域社会に残したものは小さくなかったと考えられる。そこで、地域の近代化(西洋化)の中で発展した運動であること、養蚕産業の隆盛による豊かな市民文化が背景になっていること、山本が「児童自由画教育」を同時に行って近代美術を啓蒙したこと、また、山本自身も版画家から装丁家になり、構成主義的なデザインを行うようになったこと、以上の点から農民美術をデザイン史として捉え、農民美術の新たな様相を明らかにする。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11247/jssd.65.0_38
- CiNii Articles ID : 130007399171
- identifiers.cinii_nr_id : 9000396140432