共同研究・競争的資金等の研究課題

2008年 - 2010年

エピジェネティクス解析のための新規アプタマーの探索と応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
08J11563
体系的課題番号
JP08J11563
配分額
(総額)
2,400,000円
(直接経費)
2,400,000円

母性・父性アレル間でメチル化状態の異なる領域(differentially methylated regions, DMR)はインプリント遺伝子の発現制御において重要な役割を果たす。DNAメチル化酵素関連遺伝子Dnmt3Lを欠損した雌マウスの卵子ではmaternal DMR(母性アレルがメチル化されるDMR)のDNAメチル化が消失し、Dnmt3L^<-/->雌由来の胚(Dnmt3L^<mat-/->)においてもこのメチル化消失が確認できる。Dnmt3L^<mat-/->のDNAメチル化状態をゲノムワイドに決定することで、新規maternal DMRを同定することを試みた。Agilent CpG island (CGI) arrayを用いたMeDIP-chip解析により16,000個のCGIについてのメチル化プロファイルを取得し、次に野生型胚と比較してDnmt3L^<mat-/->で低メチル化傾向を示すCGIを37箇所同定した。新規maternal DMR候補の一部についてメチル化解析を行った結果、正常卵子ではメチル化が確立され、DNMT3L欠損卵子ではメチル化が消失するようなCGIを少なくとも9つ同定した。これらの新規germline maternal DMRのうちの一つは、Cdh15遺伝子内に位置していた。新規DMR近傍遺伝子についてアレル発現解析を行い、Cdh15は胎生期・新生期のマウス脳において父性アレルから優位に発現することを見出した。更に初代培養ニューロン・グリアを用いた解析から、Cdh15は未分化神経幹細胞とニューロンでは父性アレル発現を、グリア細胞では両アレル性発現を示すことを明らかにした。Cdh15-DMRの母性アレル特異的なDNAメチル化は受精前に既に確立されているが、その母性・父性アレル間で異なるメチル化状態が遺伝子発現様式に反映されるのは脳神経系細胞に限定されていると考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-08J11563
ID情報
  • 課題番号 : 08J11563
  • 体系的課題番号 : JP08J11563