講演・口頭発表等

国際会議

異常X線小角散乱法によるODS合金における微細構造の定量評価

19th International Conference on Fusion Reactor Materials (ICFRM-19)
  • 金野 杏彩
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  • 大場 洋次郎
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  • 冨永 亜希
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  • 諸岡 聡
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  • 大野 直子*
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  • 橋本 直幸*
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  • 鵜飼 重治
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  • 大和田 謙二*
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  • 元川 竜平
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  • 熊田 高之
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  • 菖蒲 敬久
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  • 山下 真一郎

開催年月日
2019年10月
記述言語
英語
会議種別
国・地域
アメリカ合衆国

高温クリープ強度と照射耐性に優れるODS合金は、核融合炉の有力な候補材料の一つである。しかしながら、高Cr含有フェライト系ODS鋼は、748K以下の高温で長時間熱時効すると相分離を起こし、材料の脆化を招いてしまうことが懸念されている。そこで、脆化の詳細を解釈するため、微細組織だけでなく異常X線小角散乱法を用いた。この手法は、見たい元素の電子軌道に近接した波長のX線を照射することでその元素の情報のみを抽出することができるため、照射材料のような複雑な組織の分析に適している。本研究では、高Cr-ODS鋼に関して異常X線小角散乱法とTEMを併用し、それらを比較し微細組織の情報を定量的に評価することを目的とした。試料は商用MA956(Fe-20Cr-4.8Al-0.4Ti-0.02C-0.4Y$_{2}$O$_{3}$ (mass\%))で、本試料に関して748Kでの熱時効を0, 1, 10, 100, 1000時間施した後、SPring-8のBL22XUにて異常X線小角散乱法を実施し、FIBにて作成した試料に対してTEM観察を行った。異常X線小角散乱法を用いた分析結果によると、Crリッチ相のサイズは熱時効時間の増加とともに増大しており、100時間以上の熱時効で明瞭な界面を持つ析出、10時間以下で明瞭な界面を持たない相分離であることが示唆された。一方で、TEM観察結果によると100時間以上の熱時効材においては、球状の析出物、10時間以下では周期的な変調構造のような組織がそれぞれ確認された。これは、熱時効10時間と100時間の間にスピノーダル分解から析出へと変化する遷移点があることを示唆している。今後詳細な微細組織分析を実施予定である。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5067200