2012年6月
薬物療法を受ける乳癌患者に対する生殖機能温存相談システムの構築を目標とした妊娠可能期乳癌患者に対するアンケート調査
乳癌の臨床
- 巻
- 27
- 号
- 3
- 開始ページ
- 313
- 終了ページ
- 320
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)篠原出版新社
45歳以下の乳癌患者において、術後療法または経過観察が行われている21名を対象に、現在の患者の考えやニーズを把握するために聞き取り調査を行った。その結果、1)現段階でどの程度、薬物療法が生殖機能に影響を及ぼすかについての説明は、乳腺科医が担当患者に説明を行っていたにもかかわらず、33%の患者が説明されていなかったと答えていた。更に説明がされていても、患者が正確に理解していない例も認められた。2)生殖機能温存を無駄なく適切に行う上で、患者の挙児希望を的確に把握することについては、「既婚である」「既に子供がいる」「40歳以上である」といった点などで初診時に医療者側が一律に拳児希望と判断することは困難であることが明らかとなった。3)一方、診断時に個別的に拳児希望の確認をとっても、以下の「乳癌診断の衝撃によりその他のことが正常に判断できなかった」「乳癌=死という考えから子供が欲しくても何より自分の命を最優先する」といった考えが先行し、実際は治療が進んで少し落ち着いた時点で改めて拳児希望がでる可能性もあることが分かった。
- ID情報
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- ISSN : 0911-2251
- 医中誌Web ID : 2013062915