共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

台湾における司法院大法官解釈に関する比較法研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)
  • 徐 行
  • ,
  • 戸谷 義治
  • ,
  • 児玉 弘

課題番号
19K01257
体系的課題番号
JP19K01257
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

本研究の目的は台湾司法院大法官会議が行使している憲法の解釈および法律・法令の統一解釈権の運用実態を解明し、日本・中国との比較を通じて、法秩序の形成ないし台湾政治の民主化に伴う法の支配と人権保障の確立・深化におけるその役割を明らかにすることである。
2020年度は新型コロナウイルスの影響により、台湾への訪問が不可能となり、代替措置としてインターネット上の資料を中心に大法官解釈の分類とそれに基づく分析を行った。台湾民主化以降、特に2016年の2回目の民進党による政権交代以降、大法官解釈によるルール形成(違憲判断、既存の法律に対する修正等を含む)が増加傾向を示しており、法分野によって違いは認められるものの、やはり政治情勢による影響を受けている可能性を指摘できる。
また、前大法官である湯徳宗東呉大学教授が実際に関わった大法官第748号解釈(同性間に婚姻を認めない民法を違憲と判断した)に関する解説を日本語に翻訳して公表し、大法官解釈は場合によって世界的な潮流による影響を受けること、台湾社会における主流的な意見に必ずしも左右されないこと、高度に論争的な事件について大法官全体による事前の意見統一が試みられることを確認できた。
なお、中国国内の台湾大法官解釈に関する先行研究を検討した結果、制度紹介と憲法解釈の手続きに関する研究が比較的に多いものの、事例研究は少なく、台湾の政治制度や台湾と中国本土との関係を分析するための切り口として大法官解釈を取り上げることが多いという実態が明らかになった。台湾の大法官経験者が主張しているように、中国本土を含む台湾以外の国と地域における大法官解釈に対する研究が不十分で関心が低いという現状がうかがえる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K01257
ID情報
  • 課題番号 : 19K01257
  • 体系的課題番号 : JP19K01257

この研究課題の成果一覧

論文

  3

MISC

  1

講演・口頭発表等

  5