MISC

2019年11月

特発性口蓋血管損傷により重度貧血を呈した猫の1例

動物臨床医学会年次大会プロシーディング
  • 吉田 佳倫
  • ,
  • 鈴木 亮平
  • ,
  • 久保 喜昭
  • ,
  • 濱本 裕仁
  • ,
  • 関 瀬利
  • ,
  • 小野沢 栄里
  • ,
  • 戸苅 貴実
  • ,
  • 呰上 大吾

40回
2
開始ページ
209
終了ページ
210
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
動物臨床医学会

雑種猫、雌(避妊済)、10歳が原因不明の口腔内断続的出血と黒色便を主訴に来院した。血液検査上では重度の再生性貧血と低アルブミン血症が認められ、病歴および血液塗抹所見から慢性的な出血が示唆された。来院時の身体検査では、口腔内に腫瘍や歯牙疾患は観察されず、出血の原因は不明であった。血液凝固検査では異常を認めなかった。重度貧血に対し輸血を実施中、口腔内出血が認められ再度観察したところ、口蓋動脈直上粘膜から出血していた。出血部位の口蓋粘膜に微小な穿孔が認められ、穿孔部位を焼灼後、出血は認めなかった。猫における原因不明の口蓋動脈の出血は過去に数例報告があり、原因として外部寄生虫感染や毛繕いによる摩耗が推測されている。過去に報告のある症例と本症例の病歴、検査所見、口蓋の穿孔部位などは一致しており、猫の特発性口蓋血管損傷の可能性が考えられた。猫において原因不明の口腔内出血が認められた場合には、本疾患の可能性を含めて検討する必要があると考える。(著者抄録)

ID情報
  • 医中誌Web ID : 2020104251

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