共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

中国古代軍事史の多角的検討-「公認された暴力」のありか

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H01318
体系的課題番号
JP19H01318
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

昨年度に引き続き、新出史料の読解を進めるとともに、メンバーによる研究発表を行い、相互に意見を交換し、研究の方向性を固めてゆくことに努めた。
新史料の読解については、京都大学・人文科学研究所において毎週研究会を開催し、岳麓書院所蔵簡の秦律令を読み進め、訳注を作成した。本年度作成分の一部は、「岳麓書院所藏簡《秦律令(壹)》訳注稿 その(三)」として、『東方学報』誌上に掲載された。そのなかには「奔警律」のように、非常動員した兵士を辺境に送り込む際の手続きを記した条文も含まれ、秦の軍事制度を知るための、新たな手がかりとなっている。
研究発表については、丸橋・藤井・古勝・宮宅が各自の研究テーマに関して順次報告した。たとえば丸橋は、「長安西方の備え―「唐蕃戦争」を手がかりに―」という題目で、長安から西北方面へ向かう進軍ルートについて分析を加えた。これは前年度、科研の経費を用いて実施した現地調査に基づくものである。一方、古勝は「南北朝時代における仏教と軍事」という題目で、僧侶の軍事顧問としての役割や、仏教の教義と暴力との関係などを論じた。これは前年度に提案された、「武力=公認された暴力」という分析視角とも深く関わる研究テーマである。
さらに2020年12月には、海外の研究パートナーである韓国・ソウル大学が「秦漢法律国際学術会議」を開催し、これに宮宅、および海外共同研究者の陳偉(中国・武漢大学)がともに参加し、研究発表を行った。宮宅の報告は、新たな領土に進駐した秦の占領軍が、いかなる手順を踏んで次第に撤退し、それに対応するかたちで組織された行政機構が、いかにしてその業務を開始したのかを整理したものである。
以上に加えて、2020年10月には一般人向けの連続セミナー「秦帝国の実像―同時代資料が語る始皇帝の時代」(計四回、オンライン)を開催し、研究の一端を広く社会に向けて発信した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H01318
ID情報
  • 課題番号 : 19H01318
  • 体系的課題番号 : JP19H01318

この研究課題の成果一覧

論文

  5

MISC

  4

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  4