2018年4月 - 2022年3月
アカモク受精卵を用いた沿岸海域環境影響評価手法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は、研究分担者、研究協力者との共同研究体制の下、研究課題「アカモク受精卵を用いた沿岸海域環境影響評価手法の開発」における「アカモク受精卵培養の標準プロトコル」について室内培養実験によって検討した。標準プロトコルについては、基本的な培養条件(水温、光強度など)ばかりでなく、塩分濃度や有機配位子について十分な検討が必要である。これは、影響評価の対象とする排水が淡水の場合には、化学物質による悪影響ではなく、排水の塩分や有機配位子によって海産生物種であるアカモク受精卵の発芽・生長に影響が生じる可能性があるためである。
塩分を調整した海水によってアカモク受精卵を21日間培養し低塩分の影響を検討した。実海水の塩分は32-34‰程度である。比生長速度(対数生長期における葉体面積の増加率)および最終到達面積(培養最終日の葉体面積)を評価指標とした。この結果、アカモク受精卵に対する比生長速度基準の半数影響濃度EC50は14.5‰、最終到達面積基準の半数影響濃度EC50は17.4‰と推定された。また、アカモク受精卵に対する無影響濃度NOECは、両指標とも20‰と推定された。したがって排水の塩分が20‰以上であれば低塩分による影響は小さいと考えられる。あわせてアカモク受精卵とワカメ幼胞子体に対する低塩分の影響を比較した。この結果、ワカメ幼胞子体は、アカモクと比較し低塩分の影響を鋭敏に受け、死滅率が高かった。ワカメ幼胞子体は用いる海藻種としては適していないと考えられる。
有機配位子の影響については、有機配位子にEDTAおよびその類縁体を用いて必須元素である鉄のスペシエーションを制御した条件でアカモクの室内培養実験を行い、海水培地中における鉄や配位子の濃度、化学種組成がアカモクの生長に及ぼす影響を明らかにした。
塩分を調整した海水によってアカモク受精卵を21日間培養し低塩分の影響を検討した。実海水の塩分は32-34‰程度である。比生長速度(対数生長期における葉体面積の増加率)および最終到達面積(培養最終日の葉体面積)を評価指標とした。この結果、アカモク受精卵に対する比生長速度基準の半数影響濃度EC50は14.5‰、最終到達面積基準の半数影響濃度EC50は17.4‰と推定された。また、アカモク受精卵に対する無影響濃度NOECは、両指標とも20‰と推定された。したがって排水の塩分が20‰以上であれば低塩分による影響は小さいと考えられる。あわせてアカモク受精卵とワカメ幼胞子体に対する低塩分の影響を比較した。この結果、ワカメ幼胞子体は、アカモクと比較し低塩分の影響を鋭敏に受け、死滅率が高かった。ワカメ幼胞子体は用いる海藻種としては適していないと考えられる。
有機配位子の影響については、有機配位子にEDTAおよびその類縁体を用いて必須元素である鉄のスペシエーションを制御した条件でアカモクの室内培養実験を行い、海水培地中における鉄や配位子の濃度、化学種組成がアカモクの生長に及ぼす影響を明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K04406
この研究課題の成果一覧
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論文
2-
海洋理工学会誌 27(1) 45-53 2022年4月 査読有り責任著者
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海洋理工学会誌(Web) 26(2) 25-36 2021年10月 査読有り責任著者