論文

査読有り
2020年12月

化学輸送モデルGEARN-FDMによって推定された2007年から2010年の大気中ヨウ素129の全球収支

Atmospheric Environment; X (Internet)
  • 門脇 正尚
  • ,
  • 寺田 宏明
  • ,
  • 永井 晴康

8
開始ページ
100098\_1
終了ページ
100098\_17
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.1016/j.aeaoa.2020.100098

大気中の$^{129}$Iの挙動や全球収支は、観測データの時間-空間分解能の低さや、観測データに基づくモデル研究が少ないことから、完全には理解されていない。そこで本研究では、2007年から2010年の期間を対象とした$^{129}$Iの全球収支を定量することを目的として、これまでに開発された大気$^{129}$I拡散モデルGEARN-FDMに新たに2つの気相化学反応、6つの光分解反応、2つのヨウ素化学を導入し、さらに核燃料再処理施設からの$^{129}$Iの大気放出過程及び海洋と陸域からの$^{129}$Iの揮発過程を導入することで、大気中の$^{129}$Iをシミュレートする化学輸送モデルを開発した。本モデルを用いたシミュレーション結果から、海洋からの$^{129}$Iの放出量は7.2GBq/yと推定され、放出量の約半分が英国海峡起源であった。一方、陸域からの$^{129}$Iの放出量は1.7GBq/yと推定され、大規模な使用済核燃料再処理施設が稼働する/していたヨーロッパ,ロシア,北米の陸域放出が顕著であった。大気-海洋間及び大気-陸地間における$^{129}$Iの正味の交換フラックスはそれぞれ18.0GBq/y及び5.3GBq/yと推定された。海洋と陸域からの放出量は本研究で考慮した使用済核燃料再処理施設の総放出量(23.3GBq/y)よりも小さく、2007年から2010年においては、稼働中の使用済核燃料再処理施設からの大気放出が大気中の$^{129}$Iの重要なソースであることを示している。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1016/j.aeaoa.2020.100098
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5067794
ID情報
  • DOI : 10.1016/j.aeaoa.2020.100098
  • ISSN : 2590-1621

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