共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2011年

脱細胞化角膜実質を用いた再生型人工角膜の開発と特性評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
09J04930
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,100,000円
(直接経費)
2,100,000円

本年度は、脱細胞化角膜実質の移植用角膜としての有用性を調べるために、脱細胞化角膜実質上における角膜上皮再生および脱細胞化角膜の深層移植による角膜再生およびin vitroにおける角膜内皮細胞層の再構築を試み、総合的な角膜再生技術の創製について検討した。
ウサギの上皮欠損モデルを作製し、脱細胞化角膜の再上皮化をフルオレセイン染色により経時的に観察した結果、移植後2-3週間で角膜上皮が脱細胞化角膜を被覆し、欠損前の角膜上皮と全く変わらない機能を発現していることが明らかとなった。術後6ヶ月後のHE染色像から、血管新生および角膜上皮細胞のダウングロースは観察されず、移植片上でケラチン陽性の角膜上皮様構造を形成していることが明らかとなった。角膜上皮は再生能力が高いことが知られているが、これまでのコラーゲンゲルと比較して、再生期間が大幅に短縮されており、脱細胞化角膜が上皮の再生に寄与していることが示唆された。また、脱細胞化角膜を深層角膜移植した結果、移植片は徐々に透明化し、移植後4ヶ月で完全に透明化した。一方、移植片の再上皮化は、約3ヶ月の期間を要した。移植後6ヶ月間の経過観察を行い、組織学的に評価した結果、移植片上に重層化したケラチン陽性の角膜上皮様構造が観察された。移植片内部では、角膜実質細胞の浸潤が認められ、移植した脱細胞化角膜とレシピエント角膜との明瞭な境界が見られないことから、移植片のリモデリングが行われていることが示唆された。さらに、in vitroにおいて脱細胞化角膜に初代ブタ角膜内皮細胞あるいは株化ヒト角膜内皮細胞を播種することによって、正常角膜内皮に類似した細胞形態を示す単層の角膜内皮細胞層を再構築することに成功した。

ID情報
  • 課題番号 : 09J04930