共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

個人の効用関数の異質性を考慮した不平等分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K01554
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

効用関数の異質性を考慮する主要な研究を展望し、以下の重要な点に関して既存研究では十分な分析がなされていないことを確認した。(1)非相似型の選好に着目した不平等研究はごく少数である。(2)相似型・非相似型に限定せず、一般的な効用関数を用いた多数の個人が存在する閉鎖経済のラムゼイモデルを用いた不平等分析はごく少数である。(3)経済不平等問題の多くは閉鎖経済に限定されており、国際貿易が経済不平等に与える影響、もしくは、経済不平等が国際貿易構造に果たす役割の研究はごく少数である。
本年度の研究実績は以下のとおりである。(1)については、モデル構築をし均衡の証明をした。現在は、不平等分析を実施している。(2)については、経済均衡が存在することを解析的に証明し、その上で、数値分析を行っている。(3)に関連する国際貿易の研究として、当初の予定にはなかったが既存研究を精査する中で、"The Pareto distribution, asymetric shape parameters, and equilibrium in an asymmetric Melitz model"を執筆した。本論文では、企業の生産性の異質性に着目した2国の国際貿易モデルにおいて、既存研究においては企業の生産性分布が2国で異なる場合、①外国販売のみを実施し自国販売をしないPure exportersが存在する②複数均衡が存在する③経済厚生が改善しないという、①から③の可能性を示唆したが、分布関数を特定化していないため、条件が曖昧なものであった。そこで、分布関数を特定化し、①から③の検証を行った。その結果、生産性分布が国家間で異なっていたとしても、分布関数をパレート型に限定した場合、①から③の可能性がないことを解析的に証明し、既存のメリッツモデルと同じ結論に帰着することを示した。

ID情報
  • 課題番号 : 19K01554