2020年4月 - 2023年3月
コケを基点とする複雑な食物網を舞台に、隠蔽擬態はいかに進化したか
日本学術振興会 若手研究 進化生物学関連
多くの生物は、色や形によって周囲の環境に溶け込むような姿形をもつ「隠蔽擬態」によって、視覚的に狩りをする捕食者の目を逃れている。生物の擬態は適応進化の題材としてこれまで進化生物学において盛んに研究されてきた。そのほとんどは、体色や模様に注目しているが、一方、擬態には物理的な構造物(突起など)も関わっている。本研究は、そうした構造物の役割に焦点を当ててきた。
シリブトガガンボ科の幼虫は、他のガガンボ類と大いに異なる特異な生態・形態的特徴をもつ。とくにシリブトガガンボ亜科の多くの種の幼虫は植物(コケ類など)に擬態しており、それには体色、模様(クチクラに沈着した色素斑)、肉質突起という3つの形態的特徴が関わっている。本研究は、(1)各種の生活史(食草範囲)および形態の解明、(2)体色と模様の定量的解析、(3)肉質突起の機能の解明、(4)幼虫の擬態に関連する形質の系統進化パターンの解明の4つを実施することで、シリブトガガンボ類を擬態進化の新しいモデルとした研究を展開した。
研究実施期間においては、(1)から(4)のいずれについても多くの成果が得られ、(1)と(3)の成果の大部分は出版済みである(Imada 2021)。終了時点では、(3)と(4)の成果について解析および論文執筆を進めている。なお、当初計画していたオセアニアでの調査はコロナ禍のため実現できず、国内で実施できる内容への大幅な方針の転換を余儀なくされた。それに伴って、国内での模索的な調査・研究を開始し、並行して進めていくなかで、さらに包括的かつ波及効果の大きい課題を着想し、その課題が2022年度に基盤研究Bに採択されたため、本課題は2年目で廃止した。
シリブトガガンボ科の幼虫は、他のガガンボ類と大いに異なる特異な生態・形態的特徴をもつ。とくにシリブトガガンボ亜科の多くの種の幼虫は植物(コケ類など)に擬態しており、それには体色、模様(クチクラに沈着した色素斑)、肉質突起という3つの形態的特徴が関わっている。本研究は、(1)各種の生活史(食草範囲)および形態の解明、(2)体色と模様の定量的解析、(3)肉質突起の機能の解明、(4)幼虫の擬態に関連する形質の系統進化パターンの解明の4つを実施することで、シリブトガガンボ類を擬態進化の新しいモデルとした研究を展開した。
研究実施期間においては、(1)から(4)のいずれについても多くの成果が得られ、(1)と(3)の成果の大部分は出版済みである(Imada 2021)。終了時点では、(3)と(4)の成果について解析および論文執筆を進めている。なお、当初計画していたオセアニアでの調査はコロナ禍のため実現できず、国内で実施できる内容への大幅な方針の転換を余儀なくされた。それに伴って、国内での模索的な調査・研究を開始し、並行して進めていくなかで、さらに包括的かつ波及効果の大きい課題を着想し、その課題が2022年度に基盤研究Bに採択されたため、本課題は2年目で廃止した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K15852
- 体系的課題番号 : JP20K15852
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
3-
Scientific Reports 12(1) 1-12 2022年3月28日 査読有り筆頭著者責任著者
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ZooKeys 1083 13-88 2022年1月24日 査読有り
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Zoological Journal of the Linnean Society 193(4) 1154-1204 2021年11月29日 査読有り筆頭著者責任著者
書籍等出版物
2-
北隆館 2024年6月
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北隆館 2024年6月
講演・口頭発表等
15-
動物科学の最前線:めくるめく多様性を科学する(2) 2023年11月26日 招待有り
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第44回 昆虫学格致セミナー 2023年6月30日 招待有り
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日本生態学会第70回大会 2023年3月17日
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2022 ESA, ESC, and ESBC Joint Annual Meeting 2022年11月28日
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日本鱗翅学会第68回大会シンポジウム 2022年10月29日 招待有り
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"Tropical Ecology of the Amazon" at The School for Field Studies(SFS) 2022年9月27日 招待有り
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第338回生態研セミナー 2022年9月16日 招待有り
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虫の会(拡張版)第1回 JT生命誌研究館 2022年6月4日 招待有り
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九州沖縄昆虫研究会秋の例会 2021年11月6日 招待有り
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日本蘚苔類学会大会第50回記念宮崎大会 2021年9月4日