2003年7月
親鸞教学の思想構造と本覚思想~法然教学との関連~
浅井成海編『法然と親鸞』所収
- 開始ページ
- 97
- 終了ページ
- 126
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 永田文昌堂
当論稿は、日本中世・院政期の主潮であり、顕密仏教の中心的理論とされる本覚思想と、法然・親鸞教学の思想構造との関連を探り、仏教思想史上における両者の浄土教思想の構造的特色について考察したものである。法然はかかる固定的な誤った一元論に基づく本覚思想的仏教ではなく、仏と衆生の二元性に基づく教義を確立するのである。しかしそれも実体的で固定的な二元論的(阿弥陀仏・浄土が実在する)な構造が強いゆえに、大乗仏教原理との関連という課題が残ったのである。親鸞はこれを中国浄土教の先師、曇鸞の教学を依用することにより、克服するのである。当論では、その他に近年、本覚思想批判論を展開している袴谷憲昭の所説を取り上げ、これと親鸞思想との関連についても言及した。