共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2019年9月

代数多様体の力学系の幾何学的側面と数論的側面

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
18J11260
配分額
(総額)
1,500,000円
(直接経費)
1,500,000円
(間接経費)
0円

代数体上定義された代数多様体の自己写像を数論力学系及び代数力学系の観点から研究した.高次元数論力学系の研究における最も基本的な問題の一つは,自己写像の軌道に沿ったWeil高さ関数の増大度を知ることである.高さの増大度を知ることは,例えば軌道に含まれる整数点の有限性,Dynamical Mordell-Lang予想などへの応用の可能性があり非常に重要である.
私は主に,射影多様体の自己射の軌道に沿った高さ関数の指数的増大度を代数幾何的視点から研究した.指数的増大度を測る量として,Silvermanによって導入された算術次数と呼ばれる量がる.この量は自己射の幾何的な性質から決定されるだろうということが予想されている.より正確には,自己写像に対して力学次数と呼ばれる反復合成の幾何的複雑さを測る量を定義することができるが,任意のZariski稠密軌道の算術次数はこの力学次数に一致するだろうという予想がある(Kawaguchi-Silverman予想).
この年度は,このKawaguchi-Silverman予想にMinimal Model Programの手法を用いてアプローチした.射影多様体がint-amplifiedと呼ばれるタイプの自己射をもてば,MMPを自己射に対して同変に行うことができることが最近Meng-Zhangによって確立されていた.これを用いて,int-amplifiedを持つ多様体のKawaguchi-Silverman予想を研究した.例えば滑らか有理連結な射影多様体に対しては,int-amplifiedを持てばKawaguchi-Silverman予想が成立することを証明した.また有理連結でも滑らかでもない場合にも,同変MMPを用いたこの予想の証明の方針の候補を提示した.

ID情報
  • 課題番号 : 18J11260