2011年9月1日
聴覚‐視覚プライミング及び不自然な視覚刺激が脳波事象関連電位及びガンマ帯振動に与える影響
電子情報通信学会論文誌 D
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- 巻
- J94-D
- 号
- 9
- 開始ページ
- 1579
- 終了ページ
- 1588
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 一般社団法人電子情報通信学会
我々は,複数の感覚器官から得られた情報の統合により,外界の様子をより正確に把握できる.そのため,単一の感覚刺激から得られる脳活動だけではなく,複数の感覚刺激の統合から生じる脳活動の調査は,ヒトの知覚プロセスを明らかにするために重要な課題であるといえる.従来の研究では,脳波(Electroencephalogram:EEG)のガンマ帯(30Hz〜)振動に,複数の神経活動の同期が反映されることが示されてきた.本研究では,聴覚-視覚cross-modal primingにより,聴覚-視覚刺激の意味的一致及び,視覚刺激の不自然さを操作したときの神経活動の様子を,脳波により記録した.その結果,ガンマ帯振動では,聴覚-視覚刺激が意味的に一致し,かつ自然色の視覚刺激が提示されたときに大きな振動活性が見られた.しかし,聴覚-視覚刺激が意味的に一致しているが,不自然な視覚刺激が提示されたときは,ガンマ帯振動の影響は見られなかった.この結果は,聴覚と視覚の異なる感覚入力において,不自然な視覚刺激が両者の間にノイズとしての影響を与え,高次認知処理の影響を抑制する働きを示している.
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1880-4535
- J-Global ID : 201102203532477709
- CiNii Articles ID : 110008711217
- CiNii Books ID : AA12099634