講演・口頭発表等

2017年3月

食道癌化学放射線治療後に食道気管支瘻と肺結核再燃をきたした1例

結核
  • 桑原 元尚
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  • 西山 守
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  • 財前 圭晃
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  • 岡山 雄亮
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  • 末安 禎子
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  • 船津 康弘

記述言語
日本語
会議種別

食道癌に対する化学放射線治療後の食道気管支瘻と肺結核を合併した59歳の男性の症例を経験したので報告する。右上葉に結節影を指摘され気管支鏡を含む各種検査で、非活動性の陳旧性の炎症性腫瘤と診断した。3ヵ月後嚥下困難で入院し、食道ファイバーで進行したIVa期の食道癌を認めた。大学病院で化学放射線治療を受け部分寛解した。2ヵ月後呼吸困難で救急搬送され、胸部X線写真で右肺野に肺炎像を認めた。呼吸不全が著しく人工呼吸管理を施行した。気管支鏡で再発した食道癌による食道気管支瘻を認め消化液の逆流を認めた。数日後に吸引痰から結核菌が同定された。イソニアジドとレボフロキサシンの点滴とストレプトマイシンの筋肉内注射を開始した。患者は結核病床をもつ医療センターに転院した。2ヵ月間の治療の間で結核菌は検出されなかった。当院へ帰院したが食道癌は遠隔転移を伴うほど進行し3週間後に永眠した。癌に対する化学放射線治療を施行する場合は結核の再燃も念頭に置いた経過観察が必要と考えた。(著者抄録)