共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年4月 - 2002年3月

片肺マウスのモノクロタリン(MCT)誘発肺高血圧に対するア ンチセンスNFkBの治療効果

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
13671617
体系的課題番号
JP13671617
資金種別
競争的資金

2年間におよぶ本研究の成果の概略を箇条書きに示す。
1.マウスにおいては、MCT単独投与では、肺高血圧症を生じない。一方、ラットでは、MCT 60mg/kgを皮下注すると、4週間ほどで、マイルドな肺高血圧症を生じる
2.マウス(20g)とラット(50gから300g)で、片肺摘出術を行い、ほぼ100%近い生存率を得られる技術を確立した。片肺手術のみでは、肺高血圧症にはならない。
3.マウス、ラットにおける開胸肺動脈圧測定法を確立した。
4.成獣ラット(週齢13週)に片肺摘出術を施行し、1週間後にMCT 60mg/kgを投与したところ、3週間後には、平均肺動脈圧は、41±3,5mmHgに上昇した。コントロール群、片肺摘出術のみを行った群、MCTのみを投与した群の平均肺動脈圧は、それぞれ18±1.1mmg、19±1.7mmHg、25±0mmHgであることから、片肺摘出術を施行することで、MCT誘発の肺高血圧の程度は約1.8倍程度増強することが示された。
5.上記の各群の肺を病理組織学的に検討した。片肺摘出術のみの群では、比較的太い肺動脈の中膜の肥厚が認められ、小動脈に変化はなかった。MCT単独投与群では、小動脈に中膜の肥厚が認められてが、内膜の肥厚は認められなかった。片肺摘出とMCT投与を組み合わせた群では、小動脈に内膜の肥厚が認められた。以上の病理学的所見は、生理学的なデータである肺動脈圧とよく相関していた。
6.NF-κBアンチセンスオリゴを腹腔内投与しても、ほとんど肺血管に取り込まれない。気管内投与された場合は肺血管に取り込まれる。
7.Rabbit ear chamberによるmicrocirculationの観察に用いる実験技術を肺血管動態の解析に応用できないかどうか検討した。
8.小動物用にも用いることが出来る、携帯用麻酔器の開発に着手し、特許を出願した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13671617
ID情報
  • 課題番号 : 13671617
  • 体系的課題番号 : JP13671617