共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

ポドサイトが形成する血液濾過装置を支える新規アクチンリモデリング機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
20K08591
体系的課題番号
JP20K08591
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

腎臓糸球体ポドサイトに発現しているダイナミン1及びダイナミン2の細胞内機能を調べることを目的とした。本年度は、ダイナミン2のアクチン制御機構について、in vitro解析を中心に行なった。ダイナミン2はCharcot-Marie-Tooth病(CMT)の原因遺伝子の一つであることが知られている。ヒトでは9つの変異が知られている。その一つであるK562Eが細胞内のストレスファイバーとアクチン線維束形成を異常にすることを見出している(Yamada et al., Neurosci. lett., 2016)。この現象を、in vitroで解析するために、ダイナミン2野生型とK562Eをコムギ無細胞タンパク合成系を用いて調製した。最初に、ダイナミン2K562Eの性状を調べた。変異体は、膜との結合と、膜結合に依存するGTPase活性が顕著に低下していた。低イオン強度緩衝液中での自己重合性のGTPase活性は、野生型のそれに比較して、30%低下していた。また、アクチン線維とダイナミン野生型またはK562Eを混合し、その形態を電子顕微鏡にて観察した。変異体は、野生型同様にアクチン線維を束化した。このアクチン線維を精査した。高速原子間力顕微鏡観察から、ダイナミンが螺旋状に重合しているリムの部分にアクチン線維が結合していることがわかった。ダイナミンにより形成されたアクチン線維束と細胞膜を模倣したリポソームとの結合を調べた。ダイナミン変異体により形成されたアクチン線維束はリポソームにほとんど結合しなかった。従って、変異体は、細胞内でアクチン線維を束化するものの細胞膜と結合できないために、ストレスファイバー形成不全がおこると考えられる。本研究は、Frontiers in Cell and Developmental Biologyに2022年5月10日に掲載された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08591
ID情報
  • 課題番号 : 20K08591
  • 体系的課題番号 : JP20K08591