2019年4月 - 2022年3月
好中球の貪食と細胞外トラップ形成における新規アクチン束化因子の機能解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
in vitroでダイナミンとアクチン線維の反応を調べるために、野生型及び脂質結合部位に変異を持つダイナミンタンパクを定法に従い調製した。リコンビナントタンパクのアミノ末端にヒスチジンタグを融合し、このタグを用いて精製した。CBB染色でシングルバンドにまで精製したタンパクはGTPase活性を保持していることがわかった。変異体のGTPase活性は野生型と比較して顕著に低下しており、既報のとおりであった。また、アクチン線維を調製する際に使用する生理的イオン強度緩衝液がダイナミンのGTPase活性に影響がないことを確認した。続いてダイナミンとアクチン線維をin vitroで反応させ蛍光顕微鏡にて観察した。アクチン線維は、FITCにて蛍光標識したファロイジンで可視化した。ダイナミンが存在すると、架橋されたと考えられるアクチン線維が多数観察された。このアクチン線維の集合体は、ダイナミン野生型及び変異体の各存在下で観察された。電子顕微鏡にて、このアクチン線維の集合体の構造を詳細に観察すると複数のアクチン線維が同じ方向に配向しており、アクチン線維間には、ダイナミンと考えられるタンパク複合体が観察された。野生型と変異体との間に形態的な差は見られなかった。従って、ダイナミンーアクチン線維複合体をコンスタントに再現することができた。今後、この条件下でGTPase活性とアクチン線維束形成との関連を調べていく予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K07084
- 体系的課題番号 : JP19K07084