2018年4月 - 2021年3月
地殻構造モニタリングに基づく断層すべりメカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
- 課題番号
- 18K03791
- 配分額
-
- (総額)
- 4,420,000円
- (直接経費)
- 3,400,000円
- (間接経費)
- 1,020,000円
四国西部における地殻比抵抗構造の時間変化を検出するため、窪野観測点および生田観測点で2008年から蓄積していたMT(Magnetotelluric)法連続観測データの解析を実施した。解析に採用する電場と磁場のコヒーレンシーの閾値を検討し、0.9以上となるデータのみを採用して見かけ比抵抗および位相の時間変化を算出した。2018年までのデータをこの条件で統一的に解析したところ、生田観測点においては2011年から約1年間にわたって見かけ比抵抗が低下し、元のレベルへ戻った後にほぼ一定の値を示していることが明らかとなった。一方、生田観測点から北東に約10 km離れた窪野観測点では10年以上にわたって長期的な変動は検出されなかった。2010年には豊後水道において長期的スロースリップが発生したことが明らかになっている(例えばYoshioka et al., 2015, GJI)ことから、地殻深部で見かけ比抵抗が変化しそれが検出された可能性がある。今後、生田観測点においてのみ変化が見られていることを利用して比抵抗が変化した領域を拘束できると期待される。
また、スロースリップと同期して発生する微小地震活動との関係を明らかにするため岩石摩擦実験のデータを解析した。その結果、4m長の岩石試料1対を用いた実験では、従来のような震源核形成に直結するプレスリップとは異なる、定常的なスロースリップが発生しうることが明らかとなった他、微小地震が発生する条件が累積すべり量ではなくすべり速度であることが判明した。
また、スロースリップと同期して発生する微小地震活動との関係を明らかにするため岩石摩擦実験のデータを解析した。その結果、4m長の岩石試料1対を用いた実験では、従来のような震源核形成に直結するプレスリップとは異なる、定常的なスロースリップが発生しうることが明らかとなった他、微小地震が発生する条件が累積すべり量ではなくすべり速度であることが判明した。