2009年
1890年全国教育者大集会における「国家教育」論の構造
教育学研究
- 巻
- 76
- 号
- 1
- 開始ページ
- 13
- 終了ページ
- 22
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11555/kyoiku.76.1_13
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本教育学会
本稿は大日本教育会編『全国教育者大集会報告』第1・2巻(1890年)に基づき、1890年5月に全国の教員・教育関係者を集めて開催された全国教育者大集会の議論を分析し、議論に現れていた「国家教育」論の内容を明らかにしようとするものである。大集会での議論は、日本の近代学校教育制度形成の画期である1890年10月の第二次小学校令・教育勅語発布の直前に行われたものとして、重要な意味を持つ。その内容を分析すると、大集会に現れた「国家教育」論は教育理念や教育内容・方法に関する問題というよりも、市制町村制施行を強く意識し、教育費負担の問題を中心とした教育の管理運営に関する問題として議論されていた。しかも、そこでイメージされていた国家と教育との関係は多様なものであった。そのうえで、そうした議論のありようが「国家教育」を標榜する国家教育社の結成にあたって、どのように作用し、吸収されていくのかを明らかにした。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11555/kyoiku.76.1_13
- ISSN : 0387-3161
- CiNii Articles ID : 110007230067
- CiNii Books ID : AN00056578