症例は35歳男性で、定期検診のために近医歯科医院を受診した際に撮影されたパノラマX線写真で左側上顎前歯部にスリガラス様の不透過像を認めたため、当科紹介受診となった。病理組織学的に類腱型エナメル上皮腫と診断し、上顎部分切除術および遊離腸骨移植術を施行した。その後、3Dプリンターにて顎骨模型を作製し、カスタムメイド・チタンメッシュトレーと自家腸骨海綿骨細片を用いた上顎骨再建術を施行した。術後6ヵ月目のCT所見で良好な骨形成を確認した後、カスタムメイド・チタンメッシュトレー除去術および4本のインプラントの埋入手術を施行した。さらに、4ヵ月後に二次手術を行い、ヒーリングアバットメントを装着した。現在、初回手術後5年および最終補綴物装着後2年8ヵ月経過しているが、腫瘍の再発所見およびインプラント体周囲に異常な骨吸収は認めず、十分な審美性と咬合機能の回復が得られている。