2011年11月
口腔保健指導が健常有歯顎高齢者の味覚機能に及ぼす影響
日本咀嚼学会雑誌
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- 巻
- 21
- 号
- 2
- 開始ページ
- 87
- 終了ページ
- 99
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (NPO)日本咀嚼学会
高齢者の味覚機能が低下する要因の一つとして口腔衛生状態の悪化が考えられている。そこで本研究は高齢者に口腔保健指導を実施し、口腔衛生状態が改善することが味覚機能に影響を及ぼすかを明らかにする目的で行った。対象は高齢者15名(男性3名、女性12名、平均年齢67.7±5.2、平均歯数25.4±2.9)とした。口腔保健指導の内容は歯磨き、舌清掃、唾液腺マッサージ、唾液分泌訓練とし12週間にわたり指導した。それぞれの指導内容が口腔衛生状態に及ぼす効果は、齲蝕活動性試験(カリオスタット)、カンジダ菌検出試験(ストマスタット)、刺激唾液分泌重量(サクソンテスト)によって評価した。また、味覚機能は塩味、甘味、酸味、苦味溶液の全口腔法での認知閾値で評価した。口腔保健指導の結果、カンジダ菌疑陽性者は全員が指導後3週間以内に陰性になった。一方、カリオスタット値は指導後6週目で低下した。また、刺激唾液分泌重量には変化がみられなかった。味覚機能の結果は被験者全員の平均認知閾値は4基本味とも口腔保健指導後3週間以内で低下した。顕著な味覚閾値低下が認められた被験者全員が指導開始後舌清掃を実施していたこと、舌清掃効果が発現した時期と4基本味の味覚閾値の低下した時期が一致したことから認知閾値の低下に寄与したものは舌清掃による舌苔除去であると考えられた。以上より舌清掃は高齢者の味覚機能の改善に寄与する可能性があることが示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0917-8090
- 医中誌Web ID : 2012191558