共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

ホールスラスタにおける異常輸送現象の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H03815
体系的課題番号
JP18H03815
配分額
(総額)
45,110,000円
(直接経費)
34,700,000円
(間接経費)
10,410,000円

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人工衛星の重量を半減させたオール電化衛星の成功により、宇宙の推進装置にも電気エネルギーを推進力に変換する電気推進を採用する流れが加速している。オール電化衛星の推進系には、推力電力比が大きいホールスラスタが有力候補であり、JAXAの次期技術試験衛星への搭載が見込まれている。このホールスラスタ開発の鍵となるのが、推力電力比向上を阻害する電子の異常輸送(電子が理論値よりも輸送されやすい)の抑制である。異常輸送の要因として、プラズマの揺動(揺らぎ)が示唆されている。しかしながら従来の計測方法では、原因究明に必要な中性粒子密度等のスラスタ内部の物理量を、十分な精度で測定することが出来ず、異常輸送の物理機構解明に至っていない。そこで異常輸送を引き起こす物理機構を解明することが本研究の目的である。
本年度は、昨年度改良を行った70 GHz帯マイクロ波干渉計測システムを用いて、ホールスラスタの周方向4か所のプラズマ密度揺動の同時計測を行った。その結果として、同じ周波数の揺動が4か所で観測されたが、その揺動の大きさは測定場所によって大きく異なっていた。
中性粒子密度の高感度計測を目指し、コヒーレントレイリー散乱システムの構築を行い、大気圧下でのインコヒーレントレイリー散乱の1000倍以上の感度で散乱光を受光できることを確認した。また4波混合のためのレーザー光軸調整が安定して行えることを確認した。しかし本研究で想定している低密度の中性粒子計測に対しては、コヒーレントレイリー散乱の特性を活用できないことが分かった。
数値解析の改良に関しては、昨年度に引き続き並列化による高速化に取り組み、100 W級小型ホールスラスタにおいて数値解析を行い、いわゆるレイノルズ応力が異常輸送に大きく寄与することが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03815
ID情報
  • 課題番号 : 18H03815
  • 体系的課題番号 : JP18H03815