基本情報

所属
奈良女子大学 非常勤講師
学位
修士(文学)(2020年3月 京都大学)
学士(文学)(2018年3月 京都大学)

連絡先
yujis.cat.agmail.com
J-GLOBAL ID
202001000978489130
researchmap会員ID
R000007014

1994年兵庫県生まれ。

いわゆる独文科に所属しながら、以下のような関心を持って研究を進めています。

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フロイトが創始した「精神分析」の学説史研究において、『喪とメランコリー』(1917)に端を発するメランコリー論は、ルディネスコの言うこんにちの「抑うつ社会」の中でいまだにアクチュアルなものとして、研究者たちの注目を集めています。私は、そうした精神分析的メランコリー論の研究において、フロイトが1927年に著した『フモール』にメランコリーの治癒への手がかりを見出す潮流に立脚し、メラニー・クラインやハインツ・コフートといった精神分析家のメランコリー論を検討の俎上にのせてきました。

また雑駁に言って、フロイトの論ずるメランコリーは、ニーチェの論ずる「ニヒリズム」の概念と重なるものがあります。ニーチェが言うニヒリズムの元凶は、「神の死」であると考えられますが、これは精神分析用語で表すと「対象喪失」になります。『愉快な科学』(1882/87)で「神の死」を告知する「狂人」には、フロイトが「喪」には見られないとした「自己感情の低下」というメランコリー患者に独特の症候が現れていることは、ニヒリズムとメランコリーを関連させる試みがあながち的外れではないことを裏付けています。

そこで、メランコリーやニヒリズムの「克服」の道筋についてですが、上記にあるような精神分析学者たちのフモールへの着目を先取りするかのように、ニーチェは遺稿の中で、主著『ツァラトゥストラ』(1883〜85)を理解する鍵が「フモール」にあると明言しています。したがって、ニヒリズムやメランコリーを「ユーモラスな笑い」に変える方策を探ることが、さしあたっての研究課題となるでしょう。

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上記研究内容をまとめた課程博士論文『フモールによるニヒリズムとメランコリーの克服-- 現代文明におけるニーチェとフロイトの根本問題 --』を2023年9月22日に京都大学大学院文学研究科に提出しました。


経歴

  3

論文

  7

講演・口頭発表等

  5

MISC

  2

その他

  2