共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

CALR遺伝子変異により発症する骨髄増殖性腫瘍に対する新規治療戦略の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 楊 インジェ
  • ,
  • 小松 則夫
  • ,
  • 今井 美沙

課題番号
18K08372
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(以下MPNと略する)は、造血幹細胞レベルに体細胞変異が生じることで引き起こされる造血器の腫瘍である。MPNの予後は概ね良好であるが、一部の患者は、血栓症の併発による著しいQOLの低下や、予後不良の骨髄線維症や急性白血病を発症する。最新の分子標的薬を用いても寛解には至らず、根治は、治療関連死のリスクのある造血幹細胞移植に限られていることから、根治を目指した有効な治療薬の開発が切望されている。
本研究では、変異型CALRによる腫瘍性細胞増殖を試験管内で再現した系を用いて、化合物ライブラリースクリーニングを行い、変異型CALR依存性の細胞増殖を阻害する11個の低分子化合物を取得した。さらに、取得した11個の低分子化合物の受容体下流シグナル伝達機構への影響を明らかにするため、変異型CALRによるTPO非依存性のMPL活性化が生じているUT-7/TPO細胞を、これらの化合物存在下で培養した上で、蛋白質抽出液を調製し、イムノブロット法を用いて、MPL下流シグナル伝達分子であるJAK2、ERK、STATファミリーの活性化状態を評価した。その結果、取得した11個のうち1個の低分子化合物において、これらのシグナル伝達系全てに阻害が見られた。今後は、この低分子化合物を用いて、変異型CALRによるMPLの活性化自体が抑制されている可能性について、変異型CALRとMPLの相互作用や、細胞内での局在部位の変化を明らかにする。
本研究の推進により、腫瘍細胞選択性の高い低分子化合物の作用機序を解明が進み、医薬候補分子としての可能性を明らかにされ、MPNの根治を目指した有効な治療薬の開発が期待される。