共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年 - 2016年

変異CALR遺伝子による骨髄増殖性腫瘍の発症メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究
  • 楊 インジェ

課題番号
16H00678
担当区分
研究代表者

骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms ; MPN)は、造血幹細胞に遺伝子変異が生じ、一系統以上の骨髄系細胞がクローナルに増殖する腫瘍である。MPN患者の一部に共通して、分子シャペロンであるCALR遺伝子にフレームシフト変異が見いだされる。この変異により、野生型には存在しない新たなアミノ酸配列が変異CALR蛋白質に付加される。しかし、変異型CALR蛋白質のMPN発症における役割については、全く解明されていない。そこで、野生型のCALR蛋白質が、分子シャペロン以外の機能として、細胞外に排出されて、免疫細胞に働きかける機能を有することに着目し、本研究課題では、変異型CALR蛋白質が細胞外に排出される可能性や、排出された変異型CALR蛋白質の機能について明らかにする目的で研究を行った。
まず、変異型と野生型のCALR遺伝子をトランスフェクションによりHEK293T細胞に導入、発現させ、培養上清を回収、濃縮した後、SDS-PAGE電気泳動を行い、イムノブロット法により、培養上清中の変異型CALR蛋白質を解析した。すると、培養上清中にこれらの蛋白質が発現していることが明らかになった。そこで、このような現象が血球系細胞でも見られるかどうか、UT-7細胞株を使って同様の解析を行ったところ、同様のデータが得られた。次に、このような変異型CALRを含む培養上清が、血球細胞の細胞増殖能を亢進するかについてUT-7細胞株を用いて増殖アッセイを行ったところ、増殖を促進する効果は見られなかった。以上のことから、変異型CALRは細胞がで機能を有する可能性は示唆されたが、増殖促進効果はないことが明らかになった。