2020年4月 - 2024年3月
温暖化による家畜繁殖能低下の克服に資する脳熱センサーの繁殖中枢調節システムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究の目的は、暑熱環境下において家畜の繁殖成績の低下を招く脳内メカニズムを解明し、地球温暖化により頻発する家畜の生産性低下を克服するための知見を集積することである。そのため、暑熱ストレス条件下におけるウシの卵巣機能を調査した。また、モデル動物であるラットを用いて繁殖機能を司る中枢ニューロンを同定した。
カンボジアの暑熱環境下において、牛舎屋内、屋外で飼育した交雑乳用牛を用いて、ホルモン剤を用いた発情同期化処置を実施し、その後の黄体退行と卵胞発育、排卵などを調査した。その結果、牛舎屋内で飼育した場合と比較して、屋外の直射日光の当たる条件で飼育した場合において、黄体退行・排卵の遅延などが生じることを見いだした。
モデル動物であるラットを用いて、家畜を含む哺乳類の視床下部弓状核に局在するキスペプチンニューロンが繁殖機能を制御する中枢のニューロンであることを明らかにした。具体的には、、弓状核特異的なキスペプチン遺伝子のノックアウトラットにおいて、卵胞発育を制御する黄体形成ホルモンのパルス状分泌が消失することを明らかにした。さらに、全身性キスペプチン遺伝子ノックアウトラットにおける弓状核特異的なキスペプチン遺伝子導入によって、黄体形成ホルモンのパルス状分泌が復活し、排卵可能なサイズにまで卵胞を発育させることに成功した。
また、モデル動物であるラットを用いて、暑熱ストレス下の食欲不振により生じる低栄養条件下において、繁殖中枢キスペプチンニューロンの機能低下が、視床下部室傍核ダイノルフィンニューロンの活性化を介して生じることを明らかにした。
カンボジアの暑熱環境下において、牛舎屋内、屋外で飼育した交雑乳用牛を用いて、ホルモン剤を用いた発情同期化処置を実施し、その後の黄体退行と卵胞発育、排卵などを調査した。その結果、牛舎屋内で飼育した場合と比較して、屋外の直射日光の当たる条件で飼育した場合において、黄体退行・排卵の遅延などが生じることを見いだした。
モデル動物であるラットを用いて、家畜を含む哺乳類の視床下部弓状核に局在するキスペプチンニューロンが繁殖機能を制御する中枢のニューロンであることを明らかにした。具体的には、、弓状核特異的なキスペプチン遺伝子のノックアウトラットにおいて、卵胞発育を制御する黄体形成ホルモンのパルス状分泌が消失することを明らかにした。さらに、全身性キスペプチン遺伝子ノックアウトラットにおける弓状核特異的なキスペプチン遺伝子導入によって、黄体形成ホルモンのパルス状分泌が復活し、排卵可能なサイズにまで卵胞を発育させることに成功した。
また、モデル動物であるラットを用いて、暑熱ストレス下の食欲不振により生じる低栄養条件下において、繁殖中枢キスペプチンニューロンの機能低下が、視床下部室傍核ダイノルフィンニューロンの活性化を介して生じることを明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H03127
- 体系的課題番号 : JP20H03127