共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年8月 - 2020年3月

ウシにおける暑熱環境下での雌生殖器周囲の温度勾配と繁殖性との関連について

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
  • 森田 康広

課題番号
19K21167
配分額
(総額)
2,990,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
690,000円

本研究では暑熱環境下での雌生殖器の温度維持機序を解明し、世界における暑熱期や暑熱ストレス環境下の繁殖性および畜産生産性の改善に寄与することを目的としている。人医療でストレス評価に利用される心拍変動解析から得られる暑熱ストレス評価値を指標として、生殖器周囲の温度勾配が性周期を通してどのように変化するのか、性周期のどの時期に暑熱ストレスの影響により温度勾配が破綻しやすいのかを明らかにし、また、生殖器周囲の温度勾配と卵胞発育不全、排卵不全との関係を解明する。
本年度はデータ収集に重要な実験の方法について、確立を目指した。雌において報告がある生殖器周囲の温度勾配(直腸温、子宮温、卵巣温、卵胞温の順に温度が低い)を長期間モニタリングできる手法と、心拍の変動から環境ストレスを定量する方法について検討し、今後の研究に使用可能な方法を確立した。具体的には以下の2つの方法を確立した。
1:膣切開法と左ケン部切開法を併用した針金型温度プローブの腹腔内臓器留置法。
2:ホルター心電計を使用した心拍変動解析による環境ストレスの評価法。
上記の実験手法1を使用し、牛における黄体期の膣、子宮、卵巣には黄体期を通して温度勾配が維持されていること、また、体温と同調した日中に高く夜に低く推移する日内の温度変化を示すことを確認した。また、実験手法2を使用し、環境ストレス評価について、心拍変動解析の分類にクラスター解析を用いることにより同一環境下でも個体により心拍変動の時系列変化が異なることを示した。ストレス環境下ではどの個体も同じような変化パターンを示す可能性が示された。このことは、客観的に個体のストレス量を区別できる可能性を示している。本方法は初めて牛で継時的に卵巣実質の温度を長期間記録する方法であり、今後の研究に大きく寄与すると考えられる。