2018年4月 - 2021年3月
語りの生成と変容のダイナミズムに関する認知語用論的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
研究代表者仲本は、人が自らの人生を語るとき、その心的世界を欲求と信念の間で揺れ動く心の葛藤として表わす傾向があることを指摘し、その背後で働く認知的営みとして力のダイナミクス――力動性に基づく比喩理解が存在することを明らかにした。具体的には、〈心は身体である〉〈心は闘技場である〉という二つの概念メタファーを中心に、心の葛藤をめぐる語りが、身体的なバランスの維持/喪失/回復、あるいは欲求と信念の間で繰り広げられる相互行為――闘争として表現されることを解明した。
次に、分担者岡本は、独話における相互行為性を解明するため、講義中に実践した対話変換実験に基づく分析をもとに、仮想的相互行為がオープンコミュニケーションモデルによって相互行為と認知の2つのレベルで記述することが可能であることを示した。さらに、否定的直喩標識「じゃないけど(ではないが)」に着目することで、語りの中でアナロジーの否定的側面がどのように言語化されるのかを観察するとともに、そうした否定的側面がプロファイルされる基盤を実際の日常会話の談話シークエンスの分析によって明らかにした。いずれの分析結果においても、その背景には、談話における話し手と聞き手の共有基盤化プロセスが大きく関わっていると考えられる。
以上の二つの研究を通して、本研究が目標とする「語りの生成と変容のダイナミズム」についての考察が、1)比喩による語りの構造化、2)独話/対話に基づく相互行為という観点から多面的に深められてきていると言える。
次に、分担者岡本は、独話における相互行為性を解明するため、講義中に実践した対話変換実験に基づく分析をもとに、仮想的相互行為がオープンコミュニケーションモデルによって相互行為と認知の2つのレベルで記述することが可能であることを示した。さらに、否定的直喩標識「じゃないけど(ではないが)」に着目することで、語りの中でアナロジーの否定的側面がどのように言語化されるのかを観察するとともに、そうした否定的側面がプロファイルされる基盤を実際の日常会話の談話シークエンスの分析によって明らかにした。いずれの分析結果においても、その背景には、談話における話し手と聞き手の共有基盤化プロセスが大きく関わっていると考えられる。
以上の二つの研究を通して、本研究が目標とする「語りの生成と変容のダイナミズム」についての考察が、1)比喩による語りの構造化、2)独話/対話に基づく相互行為という観点から多面的に深められてきていると言える。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K00530
- 体系的課題番号 : JP18K00530